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星に願いを

綾小路家でみんなで七夕。
それぞれどんなお願いをするのかな?


「お〜い、笹持ってきたぞ〜。さ、短冊にお願い書くんだよみんな〜」


綾小路家の父がひときわ大きな笹を庭に飾り、短冊を子供たちに渡した。今日は七夕だと言うことで綾小路家で突然七夕祭りだ!と父が皆に招集をかけたのだ。

綾小路家の庭には、桂、小暮、一颯、春乃、鉄二。そしてなぜか一颯の悪友である二人まで紛れ込んで参加している。短冊と共に渡されたマジックでお互いの顔に落書きをしてげらげらと笑いあっている二人を冷めた目で眺めているのはいわずもがな春乃だ。

ちなみにこの二人、名前を笹岡秀丸(ささおか ひでまる)、七元秀逸(ななもと しゅういつ)という。

「笹と七で俺ら七夕!まさに七夕のために生まれたような男たち!」

あほにはあほな友達が寄ってくるもんだ、と春乃は短冊に目を落とした。

「はるの〜ん!何て書くの、何て書くの!?あっ、俺ら二人がはるのんを好きになりますように?いやんはるのん、もう俺らはるのん大好きよ!」
「書くわけないでしょ。」
「はるのんったら照れ屋さん!俺らの短冊見てみて!『はるのんが真っ赤になって上目づかいでもっとイジってって言いますように!』」
「なっ!?」

マジックで大きく書かれた文字に春乃は目を見開いた。

「いえ〜い!飾ろう飾ろう!」
「ばかっ!!そんなの飾るなー!」

真っ赤になって取り返そうと必死になって追いかける春乃からげらげら笑いながら逃げる二人を見て綾小路の父、良樹(よしき)はにこやかにほほ笑んだ。


「小暮は何て書いたんだ?」
「あ、うん。こ、これ…」

真っ赤になっておずおずと短冊を桂に差し出す。


『ずっと一緒にいられますように』


「小暮っ…!」

短冊を見た桂は小暮に抱きついた。その瞬間、桂の手から桂の書いた短冊がはらりと落ちる。

「綾小路はなんて書いたんだ?」
「あっ!ま、まって!書き直すから!」

一瞬早く小暮が短冊を拾い書かれている文字を読む。途端に真っ赤になりぷるぷると震えだした。


『今晩浴衣姿で裾を広げて小暮が誘ってくれますように』

「綾小路のバカっ!!」
「ご、ごめんって小暮〜!」

短冊を桂に投げつけ走って逃げだした小暮を必死になって追いかける。


「鉄二〜、お前文字書けないだろ?何て書きたい?代わりに書いてやるから言ってみ」
「えと、えとね、ペンギンの赤ちゃんになれましゅよーに!って書いて!」

鉄二のお願いを聞いて一颯は噴き出した。

「そんなもんになりたいの!?てかなってどうすんの!?」

げらげら笑いながら聞いてくる一颯に鉄二はむうとふくれた。

「いぶもぺんぎんしゃんになるの!いぶがてちゅを抱っこしゅるの!!」

真っ赤になって怒る鉄二に、今度は一颯が真っ赤になった。あれか。ペンギンの親子がやってる、親の腹にぺったりくっついてるあれがしたいのか。

一颯が短冊に『鉄二と二人でペンギンになれますように』と書いたのは言うまでもない。



それぞれの書きあがった短冊を笹に飾り、良樹は満足げに天高くそびえる笹を見上げた。今日は珍しく晴れてくれた。

「父様は何て書いたの?」
「ん?私の願いはいつだってたった一つさ」


『子供たちが皆幸せでありますように』


夜空に瞬く星のように、それぞれが輝いてくれますように。



それぞれの思いを掲げ、笹がゆったりと夜風に揺れていた。



end



今日の夜は雨ですね。満面の星空が見たいなあ。

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