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「…お前がいなくなった理由、滝沢に聞いた。
俺、それ聞いた時、まじで親ぶっ殺してやろうかと思った。
正明を辞めさせたこと、思い切り文句言ってやろうかと思った。
…でも、やめた。
正明、俺を守ろうとしてくれたんだよな?」

目が覚めて、現れたのが滝沢一人だったのに疑問を抱き問いかけると滝沢は泣きそうな顔で一部始終を話してくれたのだそうだ。それは本来ならば執事として失格の行為ではある。が、今この瞬間は堂島の友人として言わせてほしいと。俺が最後に去る時の言葉を告げ、俺を引き止めることができなかったことを幸人様に深く頭を下げて詫びたそうだ。

滝沢、ほんとにいい奴だな。短い間だったとはいえ、友人と認めてもらえるほどの絆を結んでくれていたんだな。

無言で俯く俺に、幸人様が優しく微笑みかける。

「でも、ごめん。
俺さ、実は榊原抜けたんだ。
元々榊原の会社に興味なかった。
それ言ったら、親めちゃくちゃ怒っちゃってさ。
勘当されちゃった。」

幸人様の言葉に驚いて顔を上げる。


勘当…!?


どうして、と問いかけようとして幸人様の顔を見て、その問いかけを口にできなかった。少し気まずそうに苦笑いをして頬をかく幸人様は、榊原の家にいた時よりもどこかすっきりとした面持ちだったからだ。

「俺、高校卒業して、調理の専門学校に通って調理師の免許取ったんだ。
兄貴が勧めてくれたんだ。

…ここに正明がいるって教えてくれたの、兄貴なんだ。
お前、黛とは連絡取ってたんだろう?黛がさ、兄貴にお前の動向を報告してたらしくって…
兄貴が調理学校を勧めてくれたのも、その為だ。
『正明と共に歩むつもりなら、道は自分で開け』
って。」

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