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2

「いってらっしゃいませ」

いつものように学校までお送りして、車を降りた幸人様に頭を下げると、幸人様は
「行ってくる」
と返事をした。

滝沢が落ちそうなほど目を大きくしている。


「幸人!」

校門から、いつものようにオナホールちゃんが駆けてきた。
そして、俺を見て頬を染めて挨拶をしてくる。だからなんで頬を染めるんだっての。
幸人様のご学友なので、疑問に思いながらも俺もそれに挨拶を返す。

「ねえ、幸人。
あれから幸人、ちっとも家に連れてってくれないじゃない。
今日はいいでしょ?
またこの人と、3人でしよ?
ね、名前、今日こそ教えてもらってい?」

うわお。とうとうド直球で来たか。
やっぱり狙ってたんだな、この好きものめ。
いつもはもじもじと内気な子を演じてたくせに。

いつもなら、幸人様がここでひどく不機嫌になって無言で学校に入るんだけど…

「だめだ」

きっぱりと拒絶を口にした。
男の子が驚いて目を落ちそうなほど開いている。

「こいつは、俺の専属執事だ。俺以外の奴に貸すつもりはない」

そう言って、すたすたと校舎に向かって行ってしまった。
俺も滝沢も、唖然として見送った。


放課後、昨日言われた通り自転車で幸人様を迎えに行くとなんだか嬉しそうに微笑んだ。
その笑顔を見て、俺は何だか胸が痛くなった。

幸人様が鞄を渡してきたので、前かごに入れてサドルをまたぐ。
幸人様が後ろに座ったのを見届けて、ゆっくりと漕ぎ出した。

きい、きい、と、ペダルをこぐ音が流れる。
俺は無言で自転車を走らせる。

俺はこの時間が好きだった。

きまずい沈黙ではなく、どこか心地よいお互いの沈黙。
また、一緒に帰れてうれしい。
元に戻れて、本当に良かった。

いや、元にって言うのはちょっと違う。
一か月前と違うところ。

幸人様は、今までサドルの後ろを掴んでいたのに、今日は俺の腰に腕を回して抱き着くようにして乗っていた。

傍から見ると、男二人。

しかも一人がもう一人の男の腰に抱き着いてるってどうなの、とかちょっと笑えたけれど、俺は周りの視線なんかまったく気にならなかった。


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