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3

俺の母親は屑だった。

結婚なんかに向いてなくて、いつもケバイ化粧をして色んな男をしょっちゅう連れ込んでいた。

父親は誰かもわからない。
そして、ことあるごとに俺を殴った。

あんたさえいなければ。あんたはいらない子だから。

そんないらない子ならなぜ産んだ。
俺は母親が憎くて憎くて仕方がなかった。

母親は本当に屑だった。
何が楽しいのか、男を連れ込んではその情事を俺に見せつけるのだ。
母親は俺に命令した。

『目をそらさないで』
『しっかり見て』

ガキの頃から、どんなに泣いて拒んでもそれを余計に楽しむかのように一晩中俺の目の前で男とまぐわっていた。


俺が10歳の時、母親は男の子を一人連れてきた。
俺の弟だと、俺に押し付けた。
実家の母親に取られていたのを取り返してきたのだと。

『これからは三人仲良く暮らしましょうね』

そう言って口を歪めて笑う母親に吐き気がした。
弟は5歳だった。

突然現れた母親に見知らぬところに連れてこられ、毎日泣いていた。
泣きじゃくる弟を、俺は抱きしめてあやした。
あの屑が何のつもりで弟を連れてきたのかはわからない。
だけど、俺の腕の中で泣く弟に俺は決心した。


こいつを俺と同じ目にあわせてたまるか。
俺が守ってやる。


弟の為に俺は母親に逆らうことをしなかった。
弟に手を上げそうになった時にはわざと自分の方に気を向かせるようなことをして代わりに殴られた。

食べるものが少ししかないとき、俺の分を弟に渡した。
学校に行かせてもらえない俺は、弟を連れてよく近所の公園に行った。

母親は昼間は家で寝ているので、ばれないようにこっそりと出かけた。
弟は、公園に着くときらきらした目で俺を見上げる。

俺と弟の、ひと時の幸せな時間。
弟は俺にとてもよく懐いた。
俺も弟がかわいくて仕方がなかった。
弟は、俺にとって生きがいだった。


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