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3

「ごめんって滝沢」

食事が終わり、幸人様を送る車中でネタにされた滝沢がずーんという音が聞こえるくらい落ち込んでいた。

「まさかこの俺が笑いものにされるだなんて…」

笑い者って!
どんだけマイナス思考なの。

「んな落ち込むなってば。
いいじゃん、笑い者ってよりは人気者って思えば。」
「思えるか!」

どんまい、と肩を叩くと真っ赤になって言い返された。ちゃんとフォローしてやったりしてるのに滝沢はずっと笑いものにされたことを落ち込んでるもんだからネガティブ思考で面白いなあと思って滝沢の運転する車の助手席でずっとその話をしてた。

学校に着き、後部座席の扉を開けると幸人様がむすっとして降りてきた。

あれ、車乗る時までは機嫌よかったのに。

「いってらっしゃいませ」

滝沢と並んでお見送りをすると、幸人様がじろりと無言で睨んでくる。
…ていうか、滝沢を睨んでるように見えるのは気のせいか?

「幸人!…あっ」

幸人様が校舎に顔を向けると同時に門の方から駆け寄ってきた一人の生徒が、俺を見とめて声をだした。

例の、オナホールちゃんだ。
名前がわからんのでそれでいいだろう。

「おはようございます」

一礼して挨拶をすると、そいつはぽっと頬を染めた。

「…お、おはようございます。
あの…、前も、挨拶してくださいましたよね。
お名前をうかがってもよろしいですか?」

なんで頬染めながらモジモジしてるのかを誰か説明してくれ。

「私の名前ですか?私は…もがっ」

よくわからんがとにかく幸人様のオナホール…おっと、ご学友だしと名前を教えようとしたら、滝沢が口をふさいだ。

「誠に申し訳ございません。
仕事が立て込んでおりますので失礼いたします。」

そう言ってにこりと笑い一礼し、
オナホールちゃんがぽかんとした顔をしているうちに俺を車に押し込んだ。
バックミラーに映っている幸人様がでかした、
みたいな顔をして頷いて校舎内に入っていった。

「なんなの滝沢」
「これ以上幸人様の機嫌を損ねるのはごめんだからな」

よくわからん滝沢の話に首をかしげながら屋敷に戻った。


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