×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




4

その日から昨日の約束通り、ずっと俺が自転車で幸人様をお迎えに行くことになった。
富原さんは苦い顔をしてたけど、
幸人様の命令だから仕方ない、みたいな感じ。

機嫌を損ねてまた無理難題を言われるのもごめんだ、
と思っているのも半分だろう。

自転車でお迎えに行くと、幸人様は上機嫌になる。
でも、お迎えに行くと例のオナホールちゃんが必ずと言っていいほど顔を見せ、俺に何か話しかけようとする。
それを幸人様が無理やり遮って、と言うのが帰りの日常だ。

あれだね、幸人様は自分の使用人に対する独占欲が強いね。

でも、明らかに以前とは違う。
なんていうか、柔らかくなった。
よく笑うようになったし、
屋敷では、使用人たちにもよく声をかけるようになった。

執事たちをはじめ、皆幸人様の様子に信じられないと言葉をこぼす。
無理難題を押し付けて困らせることもなくなった。

初めの傲慢俺様っぷりが嘘のようだ。
そんで、晴れた日には時々ぶらりと歩いて迎えに行く。
歩いてくる俺を見つけた時、幸人様は子供のように目を輝かせる。

『遊んでいいの?』

小さい子供が、親にそう尋ねる時のような目だ。


その目が、俺の記憶の中にある目と重なってひどく泣きたい気持ちになったりすることもあった。


そんな感じの毎日を過ごしながら、気が付くと、
俺が執事になってから一か月が過ぎようとしていた。

[ 33/73 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

top