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4

部屋に戻ると、幸人様が俺の部屋の前の扉にもたれて腕を組んで立っていた。
俺に気付き、ぎろりとむき出しの敵意を向けてくる。

「幸人様の恋人様を、今お見送りいたしました」
「…恋人じゃねえ」

あらま、そうなの。セフレってやつね、爛れてるう。

チッと舌打ちをして、さらに俺をにらんでくる。
俺はその眼をじっと見つめ返してやった。
しばらく見つめ合い、先に動いたのは幸人様で。

「…お前の名前を教えろ」

一回自己紹介してるんだけどねー。
ま、いいか。

「堂島正明と申します。
本日から幸人様専属執事となりました。
よろしくお願いいたします。」
「…覚えておく。
これから覚悟するんだな。堂島。」

頭を下げて挨拶をする俺の目の前まで来て挑発的にそういうと、さっと踵を返して幸人様は自分の部屋に戻っていった。

「覚悟しろ、だってさ」

後ろにいる滝沢を振り返り大げさに肩をすくめてそういえば滝沢が盛大なため息をついた。



「正明君、一発目からものすごいことしたんだってね」

その日の夕食時、黛がおもしろそうに話を振ってきた。
執事たちの食事は主人たちが終わってから一同に集まって食べる。使用人の食事とは思えないほど豪華だ。ナイフとフォークがいっぱい並んでてどれから使えばいいかわからない。お箸下さい、お箸。

一つ一つ怪訝な顔をして持ち上げてみていると見かねたメイドさんがお箸をくれた。ありがとう。

「ええ、まあしょっぱなの仕事としてはディープでしたね。」
「ねね、どんなことしたの?教えてよ。
幸人様って、すごい無茶ブリするんでしょ?」

わくわくといたずらっ子のような顔を向け、
俺に話をせがむ黛は子供みたいだ。

「黛、やめておけ。堂島が困るだろう」

高田がぴしゃりと黛をたしなめる。それにええー、と口をとがらせる黛の行動にますます子供みたいだと和む。

「や、俺は別に。
なんてことないですよ。
幸人様がヤッてる子を、道具で攻めろって言われたからお望み通りしてやっただけで。
オナホールに勃起ちんこ入れてぐっちゃぐちゃに擦ってやっただけです」

食事時に話す内容じゃなかったかな?
まあ聞きたいって言ったのは向こうだし。

さらりと話した内容に、ほかの執事たちが皆それぞれに色んな顔をした。

険しく眉を寄せるもの。
真っ赤になるもの。
げんなりとため息をつくもの。

黛は、きらきらと面白くてたまらないといった顔を向けてきた。

「すっごい!正明君、それ平然としてたの!?鉄仮面だね!」
「そりゃどうも」
「滝沢は?何してたの?」

黛に振られ、滝沢が激しくむせた。
コップの水を差出し、背中をさすってやる。
滝沢は少し落ち着いて、大丈夫だと手を挙げた。

「…何も。何も、できなかった。」
「ふうん、一流の執事が何もできなくて素人に仕事任せっぱなしだったんだあ」

黛が滝沢を挑発するように言う。
滝沢は無言で黛を睨み返した。

「いい加減にしなさい。
黛、ふざけがすぎますよ。」
「はあい」

山本がそう言うと、黛はぺろりと舌を出してそれ以上その話をすることはなかった。
食事が終わり、それぞれが部屋に帰るとき、黛が俺を引き留めた。

「正明君っておもしろいね。
僕、君のこと気に入っちゃった。
これから仲良くしよう。よろしくね?
あ、携帯支給されたよね。メアドと番号交換しよ?」

通常執事たちはそれぞれ連絡はインカムで行うため、携帯を支給はされてもお互い交換し合ってはいないので、俺の持つ携帯にはこの屋敷の番号と富原さんの番号しか入っていない。
なんだか友達ができたみたいでちょいと嬉しい。
赤外線で受信をし、それぞれの名前を登録する。

「また面白い話聞かせてね!じゃ、お休み!」

にこにこと手を振る黛と別れ、自分の部屋へ戻る。
もう就寝時刻に近いため、滝沢は一階の自分の部屋へ戻った。


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