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3

「それでは失礼いたします。
何かございましたらまたお申し付けください。」

事が終わり、ぐたりとする幸人様と男の子に一礼をして部屋を退室する。

滝沢は終始無言だった。
部屋に戻り、お茶をコップに入れてぐたりとソファに項垂れる滝沢に渡す。

「だいじょぶ?」

俺の問いかけにこくこくと無言で頷く。

「…悪い…。あんな、ことは、想定外で…。
学校でも、習わなかった…」

真っ青な顔でコップを両手で握りしめる。


そりゃそうでしょ。どこの世界に
『主人の情事にこのようにして混ざりましょう』
なんて教える学校があるっての。
この人クールなふりして意外と天然?


「気にすんなよ。
いきなりあんなこと言われりゃ誰だってビビるって」

意外とナイーブなんだな、と思いつつ先ほどの行為を思い出す。

…おかしいのは、俺か。

ふ、と自嘲気味に笑う俺に、滝沢がぐいとコップのお茶を飲みほして顔を向けた。

「…お前は、なぜ平気だったんだ。
あ、あんな行為を見せつけられて、尚且つあんな命令を…。
も、もしかして、な、慣れているのか」

滝沢と視線がぶつかる。

疑惑。
軽蔑。
不安。
恐れ。
困惑。

負の感情が入り混じって困惑した瞳を俺に向けてくる。

「…さあね」

俺は口元をちょっと上げて、滝沢から視線をそらしてお茶を一口飲んだ。それ以上何も聞かず、滝沢はずっと俺を見ていた。

その後、幸人様の部屋から出て帰宅しようとする少年を玄関まで見送る。
滝沢は真っ赤になり、気まずそうに少年から目をそらしていた。

うぷぷ。意外とウブなのね、と思ったのが顔に出ていたのか、滝沢がじろりと俺を睨む。

「またのお越しをお待ち申し上げております」

俺はそんな中、俺は少年ににこりと笑い頭を下げてやる。
少年は頬を染め、

「…またきます。あなたに会いに…」

と言って出て行った。


いやいや、ご遠慮願いたい。
あの行為で俺にハマったとかやめてくれよ。
滝沢がそんな俺にまた一段と怪訝な顔を向けてきた。


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