×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -




2

「大丈夫かい?」

ふわり、と地面に下ろされる。


キラキラ、キラキラ。
少し長い髪の毛が木漏れ日に照らされて、金色に光る。
おめめが青くて、鼻が高くて。


「おうじさまだ…」


すごい、すごいよ!お話から飛び出してきたのかな?

ぽやんとして見つめる。

「ふふ、王子様って、僕のことかな?ありがとう」


にっこり笑った顔は、まるで太陽みたい。


「君は一年生かな?こんなところでどうしたの?」
「あ、えと、一年生の林田哲平です!
あの、あの、ぼく、鳥さん見てたらみんなとはぐれちゃって!
ま、ま、迷子に…ふぇ…」


自分の状況を思い出して涙が出る。
そうだ、ぼく迷子なんだ。このまま森から出られなかったらどうしよう。ご飯も食べられなくて、誰にも気付かれないで死んじゃうんだ。
限定品のチョコレート、まだ全部食べてないのに。


「うぇっ、ぐす…っ、かえりみちがわかんないよぅ…えっ、えっ」



王子様は、すい、と優しく親指で涙を拭ってぼくの頬にキスをした。
涙を浮かべたまま、きょとんと王子様を見つめる。

「泣かないで。僕が連れて行ってあげるからね。」

にこりと微笑まれ、涙が止まる。

「あ、ありがとう、おうじさま」


ふにゃり、と笑ったら、王子様が手で口元を押さえた。どうしたのかな?

「…食いてぇ…」


王子様の言ったことはあんまり聞こえなかった。

[ 22/459 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]


top