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「大丈夫かい?」
ふわり、と地面に下ろされる。
キラキラ、キラキラ。
少し長い髪の毛が木漏れ日に照らされて、金色に光る。
おめめが青くて、鼻が高くて。
「おうじさまだ…」
すごい、すごいよ!お話から飛び出してきたのかな?
ぽやんとして見つめる。
「ふふ、王子様って、僕のことかな?ありがとう」
にっこり笑った顔は、まるで太陽みたい。
「君は一年生かな?こんなところでどうしたの?」
「あ、えと、一年生の林田哲平です!
あの、あの、ぼく、鳥さん見てたらみんなとはぐれちゃって!
ま、ま、迷子に…ふぇ…」
自分の状況を思い出して涙が出る。
そうだ、ぼく迷子なんだ。このまま森から出られなかったらどうしよう。ご飯も食べられなくて、誰にも気付かれないで死んじゃうんだ。
限定品のチョコレート、まだ全部食べてないのに。
「うぇっ、ぐす…っ、かえりみちがわかんないよぅ…えっ、えっ」
王子様は、すい、と優しく親指で涙を拭ってぼくの頬にキスをした。
涙を浮かべたまま、きょとんと王子様を見つめる。
「泣かないで。僕が連れて行ってあげるからね。」
にこりと微笑まれ、涙が止まる。
「あ、ありがとう、おうじさま」
ふにゃり、と笑ったら、王子様が手で口元を押さえた。どうしたのかな?
「…食いてぇ…」
王子様の言ったことはあんまり聞こえなかった。
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