×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -




7

「くそっ、はなせ、はなせ!真也っ、創から離れろ!」


新は何人かの生徒に押さえつけられていた。

「…風紀委員…」
「そうだよ、もう大丈夫だ。創、怖かったな。もう大丈夫だから。」


優しく抱きしめ、頭を撫でる真也の行為に僕はポロポロと涙をこぼした。

「なんで風紀委員が!くそっ、はなせ!」
「お前に俺が創のことを聞いたとき、お前の話を聞いておかしいと思ったんだ。
次々と話される有り得ない創の話。創の話をするとき、お前の目は狂気を宿してた。」


真也が僕をぎゅっと抱きしめる。


「お前に対する疑惑が決定的になったのは、写真を見せられた時だ。『創から無理やり押し付けられ見せびらかされた』と言って渡してきた写真は明らかに合成。そして、俺にその写真を渡すときの、写真を見るお前の顔。どんな顔をしてるか気付かなかっただろう?
『僕がこうしてやりたい』ってはっきり書いてあったぜ。」


新が唇を噛み締め真也をにらむ。


「だから俺は、仲間に連絡を取って情報を集めることにしたんだ。そしたら、お前はいつも創の周りの人間に創の悪口をさりげなく吹き込み、創に好意を寄せる人間は友達であろうがなんであろうが狡猾なやり方で、自分が嫌われないように創だけ嫌われるようにして全て創から排除していたことがわかった。」
「なか、ま…?」

見上げた僕に、真也がにこりと微笑む。

「俺、風紀の隠れ委員なんだよ。」


隠れ委員。通常の風紀委員とは別に、その存在を一切謎にし言うなればスパイの役割を果たす風紀の特殊部隊だ。噂では聞いてたけど、ほんとにいたなんて。しかも真也がそうだったなんて。


「いつかお前は創に危害を加えると思っていた。まさか今日いきなりこんなことになるとは思わなくて踏み込むのが遅れちまった。ごめんな、創。」
「危害なんて、何でたらめを!お前が今言った全てに、証拠なんてないだろ!今のだって合意だ!創だって喜んでたんだ!」


そう言う新の目の前に、真也が小さな機械を投げた。それを見た新が、さっと顔を青くする。


「俺が創に本気だから、焦ったんだろう。創の襟の裏なんてとこに盗聴器をしかけるなんてな。内容は全て録音させてもらった。
―――風紀室に連れていけ」


真也の合図と共に、新が風紀委員に引きずられていく。

「くそっ、はなせ、はなせ!創っ、創!愛してる、愛してるんだ!僕の、僕の創!はじめえぇ!」

廊下を引きずられながら、僕の名を叫び『愛してる』を繰り返す。僕は真也の腕の中で、耳をずっとふさいでいた。


新。新。どうして、こうなっちゃったんだろう。やり方が違っていたなら、僕だってきっと。


耳を塞ぎながら、ポロポロと泣き続けた。
そんな僕を、真也は何も言わず抱きしめ背中を撫でてくれていた。

[ 197/459 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]


top