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「ねえ、高橋真也。知ってる?」
新の口からでた名前に、ドキリとする。
僕は、新には真也の事を言わなかったから。何も言わない僕に、新はニヤリときれいな顔を歪ませる。
「知ってるよね?だって創の彼氏だもんね?」
「な…んで…」
バクバクと心臓が早くなる。握りしめた手に、汗がじわりと滲んでくる。
「あのね、創勘違いしてるようだから教えてあげる。真也が本当に好きなのは、僕なんだよ。」
くすりと笑い、そう言った新の言葉にめまいを感じた。
「真也ね、本当は僕に付き合ってって言ってきたんだよね。でも、僕真也のことよく知らないし。付き合ってすぐ別れるとかイヤだから、まずは創と付き合ってみてよってお願いしたの。
創から真也がどんな人か教えてもらって、いい人だったら付き合ってあげるって言ったんだよね。」
そう言ってクスクス笑う新。足が、がくがくと震える。僕はちゃんと息ができているんだろうか。
「なんで…」
「なんで今バラしたのかって?だって、創ちっとも僕に真也の話してくれないから。もしかして本気にしちゃってたらいけないと思って。真也には内緒にするように言ってるから。
あ、もしかしてもう本気だった?」
ニヤニヤと嫌らしい笑いを浮かべる新の態度に、唇を噛む。
「…ううん、本気じゃないよ…。おかしいと思ったんだよね、あんなかっこいい人が僕に告白してくるなんて」
「あははっ、だよねえ。創みたいな平凡、本気で相手する奴なんていないよ。よかったあ、創が傷つく前で。
真也の本当の目的をわかってくれたならさ、これからリサーチを続けて僕に報告してくれない?いいよね?」
「わかった…」
無表情で頷く僕を、新はひどく歪んだ笑顔で見ていた。
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