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13

「哲平くん、ありがとうね」


あの次の日、俺は良平の家に遊びにきた哲平くんにお礼を言った。


「ううん、おにいさん、ありがとう。良平、もう泣いてないね。おにいさんのおかげだね。」


にこにこ笑う哲平を撫でる。
あの日、君が来てくれなければ今のおれたちはいなかった。あの日、哲平は俺に『良平を助けて』と叫んだ。だが、この子に救われたのは俺の方。この子は本当の意味でおれたち二人を救ってくれたのだ。

「そう言えば、哲平くんよくあんなとこまで来れたね。」
「…あんなとこ?」

お茶を入れて戻ってきた良平が尋ねる。


「ぼくね、おにいさんをさがしにお外にでたの。一回、お星様を見てたらおにいさんが街の外れに歩いていったのみたことあるから、そっちにいけばいるかなって名前呼びながら歩いていったの。そしたら、怖そうな人いっぱいいたけど、みんながおにいさんのいるところをおしえてくれたの。」


えらいでしょ、と胸を張る哲平に、良平がげんこつを落とした。


「このバカ!危ないから1人で出歩いちゃだめっていつも言ってるでしょ!?変な人に連れて行かれたらどうするの!」
「だってだって!良平泣いてたもん!良平に、早くげんきになってほしかったんだもん!だから、だからぼく、うわあああん!」


わあわあと泣き出した哲平を、良平がだきしめた。


「…ごめんね、哲平。ありがとう。」


良平の目にも、涙が浮かんでいた。

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