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記念企画第四位、『青い鳥の伊集院崇』が記憶喪失になるお話です。


がんばります、ではどうぞ!


――――――――



君が笑っていてくれるなら。
鳥ってのはやっぱり自由に空を飛んでこそ美しいのだから。
ならば俺は、止まり木になろう―――――。



喧嘩をした。
きっかけはなんだったか思い出せない。自分にとっては些細な事だったと思う。それなのに、気がつくと目の前には怒りと呆れをはらんだ目でじっと自分を見る伊集院がいて。


「もういい」


もう一度、ちゃんと話をと口を開いた瞬間と、伊集院がそう言って踵を返したのは同時だった。

次の日、とことん避けられた。朝迎えに行っても先に行っていたし、教室も原口が行くよりも先に抜け出していた。そして放課後になると同時に生徒会室に閉じこもり。

メールも電話も無視されて、原口は大きなため息をついた。

喧嘩をしてここまでこじれてしまったことは初めてだ。そんなに自分はまずいことを言っただろうかと、頭を悩ませる。それでもどうしてもそこまで伊集院が怒る理由がわからず、原口はとにかくもう一度話をしたい。と腰を上げた。
その時だった。

「原口くん!伊集院様が…っ」


真っ青な顔をして、伊集院の取り巻きの一人が教室に飛び込んできたのは。


伊集院生徒会長が階段から足を踏み外して救急車で運ばれた。

その知らせを受けてから、病院につくまでに伊集院の取り巻きの一人が原口とずっと共にいて、病院に先にいる仲間と連絡を取っていた。どうやら怪我は大したことがなかったらしく、着いてすぐに目をさまして元気でいるらしい。検査結果も問題なし。その報告を受けて、原口は心底ほっとしたため息をついた。喧嘩したまま、万が一だなんて考えたくもない。
とにかく今は、伊集院の…愛しい恋人の無事な姿をこの目で確認したい。

だが、病室に入った原口を待っていたのは最も残酷な現実だった。


「誰だ貴様は。馴れ馴れしく話しかけるな平凡が!」


病室に入って、ほっとした笑みと共に声をかけた原口に対して放ったた伊集院の一言だ。
驚きのあまり、その場にいた全ての人間が固まる。

「あの、会長…?」
「なんだ。おい、貴様は俺のファンじゃなかったのか?どうしてこんな平凡をここに連れてきた。とっとと連れ出せ!」

伊集院の発した言葉に誰も何も言うことはできなかった。特に、原口を病室に連れてきたのに連れ出せと言われてしまった男子生徒はひどく困ったように眉を下げて、おろおろとする。それに、片手で大丈夫だ、とでもいうように合図をした原口は自分を汚いものでも見るかのように睨みつける伊集院にぺこりと頭を下げて、自ら病室を出て行った。

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