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乙女は勘違いも全力で!

日ごろから大変お世話になり、仲良くしてくださっているmiracle☆catの管理人様の鳴瀬様より『乙女はいつでも恋に全力!』のゆー×ひいSSを頂きました!
鳴瀬様、ありがとうございます!

もう、ひぃがかわいすぎて鼻血ものですwお話のタイトルの指定がございませんでしたので、お話を読んで勝手にこちらで思いついたタイトルをつけさせていただきました。すみません。


それでは、どうぞお楽しみください♪


*******************

 ああ、どうして。
 お外はこんなに良い天気なのに。
 どうしてどうして、俺の心だけこんなに土砂降りなの?
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
「ま、待て、ひい!!」
 泣きながら走る俺を追いかけて来る、だぁりん。
 大好きな大好きな人。俺の初カレ。世界で一番愛してる人。
 だけど今は、そんなだぁりんが…憎い。
「やだやだやだっ!!追いかけて来ないでっ!!」
「追いかけるに決まってるだろう!!ひい、お前は誤解してるんだ!!」
 ああ、追いつかれちゃいそう。でもだめ、今つかまったら絶対にごまかされちゃう!!
 だぁりんは、この学校の生徒会長。そして、俺も一応所属してるチームの総長。
 勉強も全国トップの成績だし、喧嘩も最強。しかも経験豊富(むかっ)。
 そんな素敵過ぎるだぁりんに、俺はめろめろ。だから、今はつかまるわけに行かない。
「やだもん!!だぁりん、俺をつかまえて、ごまかすつもりでしょ!?浮気したくせに!!」
「だから、してないって!!俺の話を聞け、ひい!!」
 もうちょっとで、腕を掴まれちゃう!!って所で、俺は目的地に到着。
 慌てて扉を開けて、中に飛び込む。もちろんだぁりんが入って来る前に扉を閉めて、キッチリ鍵も掛ける。
「秋次ー!!」
「うおあ!!ビビった!!…何だよ、ヒデかよ。もー、何なんだよ…休みの日なんだから寝かせろよ…。」
 ベッドで惰眠を貪っていた元ルームメイトに飛びかかり、胸倉を掴んで前後に揺する。
「聞きやがれこんちくしょう!!だぁりんが、だぁりんが浮気したの!!」
「はあ!?総長が浮気ィ!?…するわけねぇだろ、バカが。お前の勘違い、ハイ終了〜。帰れ。今すぐ寝かせろ。」
「本当なんだってば!!あ、コラ寝んなテメェ!!寝たら殴る!!」
 背後で鍵を閉めた扉がドカンドカンと大きな音を立てている。
 そして。
『外山。聞こえているな?…貴様、俺のひいといつまで二人きりでいるつもりだ?』
「ギャッ!!…そ、総長!?ち、違います!!俺はなりたくてなってるわけじゃ…!!」
 ドスの効いただぁりんの声に、秋次が震えあがる。
 …凄んでる声もカッコイイ…心臓がドキンってしちゃうよ、だぁりん…。
『今、どこにどんな態勢でいる?まさかベッドにいるんじゃないだろうな?』
「ヒ…ッ!!い、いや、その…ッ!!」
『ベッドか?…二人でベッドの上にいたり、ひいをお前の膝の上に乗せてたりしたら、明日の朝日は拝めなくなると思えよ、外山。』
「キャーッ!!イヤーッ!!どけ!!ヒデ、今すぐ俺の上からどけ!!俺から離れろ!!離れてくれぇぇぇぇぇ!!!」
 ううん、でもだめ!!だぁりんのカッコイイ声にドキドキきゅんきゅんなんてしてる場合じゃない!!
 だってだぁりんには今、浮気疑惑が浮上中なんだもんっ!!
「聞いてよ秋次!!本当にだぁりん、浮気したんだよっ!!証拠だって持ってるんだからっ!!」
 何故か全身真っ青でガクガク震えながら号泣してる秋次に、持ってた『証拠の品』を突き付ける。
 …それは、一枚の写真。

 だぁりんが、女の子と、ちゅーしてる写真。

 俺はもう直視できないけど、思い出すだけで泣けて来る。
 ちょっと冷めた表情のカッコイイだぁりんと、厚化粧ブリブリな女の子の、キス写真。
 最近とっても暑い日が多くなって来たから、『デキたカノジョの勤め!』って春物から夏物への衣替えをしようと思って。
 だぁりんのクローゼットの中をいじっていたら、出て来た。
「ね!?ね!?これって浮気だよね!?ひどい、だぁりん!!俺というものがありながら!!」
 だぁりんのキス、大好きなのに。俺だけじゃなくて、他の子にもしてたなんて!!
 もしかしてだぁりん、この子にも俺にするみたいにしてるのかな。
 優しく甘く囁いて、抱き寄せて、キスをして…。
 俺の大好きな腕枕や膝枕も、この子にしてたの…?
 それにもしかして、俺にはまだしてくれた事ない…え、えっちも…この子にはしてるの…?
 …やだやだっ!!そんなのやだ!!
 わあっと泣き崩れると、秋次はその写真を見て。
「…ヒデ。日付見ろ。これ、二年前の写真だぞ。」
「へっ?」
「つまり、総長がお前と出会う前の写真だ。…ほら、総長だって今より若い…っつーか幼い感じだし。」
 言われて、写真を直視しないように気を付けながら、日付を見る。
 …確かに、二年前の日付。
 じゃあ、これは俺と出会う前?元カノとの写真?
「で、でもでもっ!!こんなの撮るなんて信じられないっ!!」
「いや、キス写真って撮る事あるだろ。俺だって元カノとちゅープリくらいは撮ったし。てかコレ総長、この表情は…不意打ちだったんじゃね?女の子が無理矢理って感じに見えるし。」
「しかも何で、二年前の写真を大事に持ってるの!?それって…まだこの子に未練があるって事じゃ…」
 そう言い掛けた、その時。
 メリメリメリッ、と、何かが裂けるような音が…。
「え?」
 音のした方を見ると。

 扉が、縦に裂け始めている。

「何をどうしたらそうなる!?」
 秋次の悲鳴のような叫び。俺はなんだかぼーっとしてしまって、その様子を眺めている。
 メリメリメリメリ…と音がだんだん大きくなり。
 最終的に、爆発音のような音がして…扉は真っ二つに裂けた。
「…ひい。」
 背後に光を背負って、優しく微笑むだぁりん。
 まるでシンデレラを見付けた王子様みたい…。胸がきゅんきゅんするよう。
「おいで、ひい。そんな貧相なところにいないで、俺の腕の中に戻っておいで。」
「…ゆー…。」
 差し出された手に、手を重ねそうになるけど…はっと我に返って。
「いやっ!!浮気者なゆーのトコになんて、戻ってあげないっ!!」
「ひい…誤解は解けただろう?それは俺がひいと出会う前…真実の愛を知らない頃に、遊び相手が勝手に撮った写真なんだ。」
「でもでもっ!!じゃあなんで、クローゼットに大切にしまってあったのっ!?この子に未練があるからじゃないのっ!?」
「違う。そんな写真の存在、忘れ去っていた。多分その女と別れ話をした時、腹いせに俺の服のどこかに忍び込ませたんだろう。それがクローゼットの中に落ちただけだ。」
 …そうなの?本当に?

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