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 涙が止まらない目でだぁりんを見上げると、大好きな優しい笑顔で俺をみつめてくれていて。
「俺が愛してるのは、生涯でひいだけだ。可愛い、俺のひい…。」
「うう…。」
「そのネックレスをお前に贈った意味、教えただろう?ひいが俺の特別で唯一無二だという証明で、生涯愛し続けるって誓い。…なあ、ひい。愛してる。俺を信じて、俺の腕の中に戻って来てくれ。な?」
「あうぅ…。」
 甘い声。甘い言葉。きゅんきゅんする胸。
「…俺だって、ゆーだけだよう…一生、ゆーだけ愛してるんだからぁ…。」
「ひい。」
「でもっ!!だからこそ、なんか、許せないっ!!俺はだぁりんが初カレで、何もかもだぁりんだけなのに…だぁりんは俺の他にもラブラブした事がある人がいるなんてっ!!」
 困ったような表情のだぁりんに、キュンとしつつももやもやが止まらない。
 そうだよ、ずるいよ!こんな風にもやもやするのが俺だけだなんて!!
「秋次!!」
「はへ!?」
 放心状態(魂が口から半分出てるようだ)の秋次に向き直ると、俺は。

「秋次とちゅーして、俺のもやもやをだぁりんにも味わわせてやるっ!!」

 そりゃー俺だって、秋次なんかとちゅーなんてしたくない。
 ちゅーっていうのは、愛する人とする大事な事。秋次は友達だけど別に愛してないし。
 だけどだけどっ!あんまりにも理不尽なんだもんっ!!
「待て待て待て待て落ち着けヒデ!!!やめろ!!キモい怖い死ぬ殺される!!!」
「やだもんしてやるもん!!だぁりんなんて、だぁりんなんて、ヤキモチ妬いちゃえば良いんだからっ!!」
 がしいっと秋次の顔を掴み、吐き気を堪える。
「うえ…想像するだけで気持ち悪いよう…。秋次とキスとか、本気で吐きそう…。したくないよう…。」
「ならやめろよ!!やめてくださいマジで!!俺はまだ死にたくない!!あああああ総長待って関節鳴らさないで殺気出さないでぇぇぇぇ!!!オーラが!!オーラが怖い!!」
「でもやっぱり、『肉を切らせて骨を断つ』っていうもんね!!目的の為には、自己犠牲も必要な時ってあるよね!!すっごい嫌だし、すっごい気持ち悪いし、汚れちゃうけど…っ!!でも…っ!!やるしかない…っ!!」
「俺の骨を断ってどうすんだよ!!お前目的間違えてるよ!!こんなの誰も幸せになれないよ!!世界が滅びるって言うか、とりあえず最初に俺が殺されるからやめてぇぇぇぇぇぇ!!!」
 秋次の悲鳴を無視して、えいやっと秋次を引き寄せる。
 その次の瞬間。
 ぼくっ。
「ぐはぁ!!」
 ぐいっ。
 ちゅっ。
「…え…?」
 色々な音と感触がして。
 気付けは俺は、だぁりんの腕の中にいた。
「…あれ?だぁりん…?」
 目の前にいたはずの秋次は床に転がっていて(気絶してるみたい)、俺の視界いっぱいに映っているのは愛しいだぁりんの顔。
 確かに、唇に柔らかい感触はあった。
 でもそれは、よく知るだぁりんの唇の感触で…唇が触れ合う直前に香ったのも、だぁりんの香水で。
 じゃあ俺が今キスした相手は、だぁりん?
 しかも俺、だぁりんにお姫様抱っこされてる!!
 やばい、きゅんきゅんする!!お姫様抱っこ、きゅんきゅんするよう…!!
「…全く、ハラハラさせるなよ。この小悪魔が。」
「だぁりん…。」
 もう一度、キス。
 …ああ、やっぱり無理だ。だぁりん以外の人とキスなんて、絶対したくないしできない。
 ちゅっちゅっと唇を吸って、それでもあの事の発端となった元カノとのキス写真を思い出して、むかっとして。
 消毒するみたいに、だぁりんの唇を舐める。
「ひい、お仕置きだぞ。いくら嫉妬で頭に血が上っていたとは言え、ベッドの上で俺じゃない男の膝の上に乗った事と、他の男にキスしようとした事。」
「むーっ!!それは全部だぁりんのせいだもん!!俺だって本当はだぁりんの膝にしか乗りたくないし、だぁりんとしかキスしたくないもんっ!!なのにだぁりんが変な写真撮ったり持ってたりするからぁ!!俺、傷付いたんだからねっ!!」
 もう一度、キス。
 今度は舌を絡める、濃厚なキス。
 とろとろになっちゃった俺に、だぁりんは。
「それなら、今度は俺とひいのキス写真を撮ろう。」
「ふあ…へ…?」
「ああそうだ、プロに撮ってもらおうか。本格的なセットと機材で、プロに俺とひいのキスを撮るんだ。毎年この時期に一枚ずつ撮るようにするのも良いな。」
 だぁりんと俺の、キス写真…。
 素敵な背景で、プロに撮ってもらって。
 綺麗なアルバムにしてもらって、それが毎年一枚ずつ増えて行く…なんて。
 どうしよう!!そんなの…そんなの、身体が震えるくらい素敵!!
「だぁりん、だぁりん!!」
「ひい…。」
「秋次と嫌々キスなんてしようとして、ごめんなさいっ!!俺、ヤキモチで頭ヘンになっちゃってたみたい…俺はだぁりんじゃなきゃ絶対嫌だよう!!」
「そうだろう。まったく…ひいのヤキモチは、恐ろしいな。」
 涙ぐむ俺に、たくさんのキスをくれるだぁりん。
 ちゅうちゅうしながら、なんだかとろんとして来てしまう。
「さあ帰ろう、ひい。俺達の部屋に。二人きりで、たくさんキスしような?写真の手配もしないとな。」
「うんっ!!」
 お姫様抱っこのまま、秋次の部屋を後にする。
 休みの日だから寮内にはたくさんの生徒がいるはずなんだけど、何故か廊下は無人で…だから歩きながら何度もキスが出来て、嬉しい。
 部屋に戻って、だぁりんのベッドにそっと下ろされて。そのまままた、何度もキス。
「愛してる、ひい。もう二度と、俺以外の奴の膝の上なんかに乗ったり、俺以外の奴とキスしようなんて考えたり、するんじゃないぞ。」
「うん。…だぁりんも、あの写真もう捨ててね?俺以外とキスとかえっちな事とか、しちゃだめだよ?」
「もちろんだ。」
 だぁりんカッコ良過ぎ!!
 そして『お仕置きだ』って、えっちなキスをたくさんされて…俺はまた、ますますだぁりんが好きになっちゃった。
 後日、副会長で副総長の桜井さんから、『寮内を騒がせた事』と『秋次の部屋の扉を真っ二つに裂いた事』をだぁりんと二人で怒られるんだけど(俺達が寮内で騒いでても誰も来なかったのは、桜井さんが『生徒会長兼総長とその恋人の痴話喧嘩なんて、一般生徒やメンバーになんか見せられない』と判断し、人払いをした為らしい)。
 今の俺達はそんな事を予想する事も出来ないくらい、お互いに夢中で。
「ゆー、愛してる…。ずっとずっと、俺の事ぎゅってしててね?」
「ああ。ひいは永遠に、俺の腕の中から出してやらないよ。」
 折り重なったまま、日が暮れるまで、キスをして愛を囁き合って。
 今日の天気と同じくらい晴れ渡った心で、幸せな時間を過ごしていた。


END

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皆さま、いかがでしたでしょうか!私はもう読みながらニヤニヤが止まりませんでした。ひぃ、大暴走ww何気に一番ひどい目に遭った秋次が一番お気に入りですw
総長、かっこよすぎですwww

鳴瀬様、本当にありがとうございました!これからもどうぞよろしくお願いいたします!

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