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「あ、綾小路」
くいくいと、おおい被さる俺の制服の袖をひっぱる小暮。
「どうした、小暮。あ!お、俺が暴露したから怒ったのか!?す、すまない、つい口からポロッと!」
おろおろと言い訳する俺に、小さく首を振る。
「ち、ちがう。あの…、そんな、西条と喧嘩しなくて、いいよ。大丈夫だから」
「小暮…」
眉を下げる俺の手を、小暮がきゅっと握り、俺を見つめる。
「俺が好きなのは、綾小路だから。だから、大丈夫」
頬を染め、ふわりと笑った。
「うわ…!」
「…っ、でた!」
「やった、見れた!」
「…小暮ぇ…」
途端に、ざわざわと騒ぎ出す食堂。
西条なんか、完璧に目がイっちゃってる。
「だめえええ―――!!!!その顔ここでしちゃだめだああああ!!!!!
見んなお前ら!西条じりじり近寄ってくんな!死ね!
小暮、逃げるぞ!」
慌てて小暮の手を引き、食堂から飛び出した。
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