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2

「納得いかねえ!」
「しょうがないでしょうが!」

生徒会室の入り口で、俺と山本がにらみ合う。


「なんで小暮と一緒に昼飯食いに行っちゃいけないんだ!」


正式に小暮と付き合うになってから1ヶ月。俺は山本と言い争いをしていた。
理由は、昼休みに小暮と一緒に食事に行こうとした俺を、山本が止めたから。
授業が終わって、俺を迎えにきた小暮。遠慮がちに扉をノックし、返事をするとそっと扉を開けこちらを覗き込む。そんな小暮に走って抱きつこうとした俺の首根っこを掴んで制止しやがった。
死ぬかと思ったろうが。

「だめだとは言ってないでしょうが!一時半までに提出の書類があと少し残ってるでしょう?それが終わったら行けっつってんのに、このわからずやが!」

山本め。だんだん言い方に敬意がなくなってやがる。

「だから、それなら書類が終わるまで小暮をここに置いとくってのに何でそれも却下なんだよ!」
「あんたが膝の上に乗せたまま仕事しようとするからでしょうが!」


だって、小暮だぞ!そこが定位置だろうが!



「それにね、小暮さんがご自分からここに滞在するのを拒否されたんですよ。『生徒会室は元々役員以外は立ち入り禁止だから、自分を特別扱いしないでほしい。ルールは守りたい』って。
彼の言い分は正しい。今までのあんたとあんたのセフレたちがおかしかったんですよ。
よかったじゃないですか、きちんと常識のある方があなたを選んでくださって。
そんな彼に恥をかかせるつもりですか?
わかったらとっとと仕事してくださいよ、そしたらすぐに行けるでしょ?」


くそう、山本め。小暮のことを出されたらだまるしかないじゃないか。


「会長、早くしないと時間なくなるよ〜?俺とこぐちゃんで席取っとくからさ、心配しないでよ〜って、いてえ!」


上村が小暮の肩を抱こうとしたので思い切り手をはたき落としてやった。

「綾小路」
「!なんだ、小暮?寂しいか?」

小暮の手を握りしめる俺の言葉に山本と草壁が後ろで呆れている。


「待ってる。綾小路を待ってるから、早く来て。」


ふにゃりと笑顔で、俺の手をきゅっと握り返す小暮。

「だめだー!こいつらの前で、その笑顔見せちゃだめ―――!!」
「あんたいい加減にしろよ!」
「小暮さん、早く行って!今のうちに逃げてください!」

がばりと小暮に抱きつく俺を、山本が引き剥がし草壁が小暮に逃げるよう指示を出す。
真っ赤になっている小暮を、上村が引っ張って連れて行く。


「ちきしょう、すぐ行くからな、小暮!
オラ、とっとと書類渡せ!マッハで終わらせてやる!」
「始めからそうしてくださいよ…」


山本がげんなりしてため息をついた。

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