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10

「こらー!てめえら、ほどきやがれー!」



今、俺はす巻きにされ床に転がっている。
なぜこのような状態になったかは、先ほどの告白後に遡る。



『……綾小路、好き。』

その言葉を聞いて俺は、小暮を抱きしめた。


「…小暮、ごめん」
「綾小路、もういいよ…俺だって…」
「いや、違くて……、…………………勃った。」
「………………う、え?」

ムスコが、完璧に起き上がった。
この2ヶ月、何をしても決して反応しなかったムスコが!

「お前の笑顔、破壊力抜群だわ。すまない、我慢できない。食わせて。」
「えっ!えっ?今?ここで!?」
「うん、今。ここで。」

いきなりのことに混乱する小暮を、ベッドに押し倒す。


「まっ、待って!こ、ここでって、ここ、ここは…」

そういや生徒会室にある、仮眠室だったっけ。
つまり、あいつらが隣にいるわけで。


「2ヶ月ぶりに勃ったんだ、これ以上我慢できねえ。
あいつらのことは気にしなくていいって、今までも何回もそんなことあったんだから」
「…………今まで、あった?」
「そうだよ、だから気にするな」

とにかく小暮を抱きたくてたまらなくて、説得したつもりだったんだが、小暮は顔を曇らせ震えながら拒否しだした。

「やだ、綾小路…、ここはやだ…」
「ちょ、小暮?大丈夫だって、俺に任せて…」

いやいやと暴れる小暮を落ち着かせるため、キスしようとした途端仮眠室の扉が勢いよく開けられた。

「な、なんだ、おまえら!」

そして、山本、上村、草壁の手によってあっちゅうまに布団にぐるぐる巻きにされてしまったのだ。


「ほんとに下半身バカですね、思いが通じ合って即股間にくるとか。バカですか。バカ。」

山本が、心底あきれた顔で俺を見下ろす。

「おーよしよし、こぐちゃん、怖かったねえ。悪い人は副会長が懲らしめてくれますからねー。」

小暮はと言うと、三人に助けられ(?)今は上村に後ろから抱きしめられ、頭を撫でられてぷるぷる震えている。

「あっは、こぐちゃん涙目でぷるぷるしちゃってかっわうぃい〜!生まれたての子鹿みたい!バンビちゃんだ、バンビちゃん!」

上村がそんな小暮を、さらにぎゅうぎゅう抱き締める。

「てめえこら上村あああ!小暮に触ってんじゃねええ!!ぶっ殺すぞ、そいつはおれのもんだあああ!!!」

動かない体を必死によじり、上村を睨みつける。

「うわ…、なにあの人、独占欲の塊じゃん。あんなんだったっけ、きもちわる。」

おえー、と、舌を出す上村。

「会長、ひどいです!小暮さんの気持ちも考えないで、小暮さん、かわいそうすぎます!」

草壁が、プンプンと怒って俺を責める。

「なんでだよ、思いが通じ合ったら体も繋げたくなるだろうが!」
「あのね、草壁が言ってるのはそこじゃないでしょう。
あんた、小暮さんがなんで嫌がったかわかんないんですか?」

山本が、ため息をつきながら問いかける。

「そりゃ、おまえらがとなりにいるから…」
「うわ〜、会長クズだね、クズ。こぐちゃん、やめた方がいんじゃない?何たって、『今までみたいに』仮眠室でヤろうとするんだもんね〜」


上村の一言に、はっとする。


「ようやくわかったんですか。小暮さんはね、あんたが今までかわいい子たちとヤッてたとこってのが嫌だったんですよ」
「会長、デリカシーがなさすぎます!好きな人との、大事な初めてをセフレたちと同じように扱うなんて!」


みんなの言葉に、小暮は真っ赤になって下を向く。
…そりゃそうだ。あんな言い方したら、嫌がって当然じゃないか!ああ、俺のバカ!傷つけた分愛するとかいって、また傷つけた!


「あー、そしたら会長、こぐちゃんとは寮部屋でもできないね。あそこにも連れ込んでたもんねー」
「…おい、山本。ほどけ。暴れねえから。ついでに俺の携帯かせ。」

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