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9

「お、お前が、笑顔がかわいいって、言ってくれて嬉しかった。
け、結果は、やっぱ、だめだったけど…。
あの、一言だけで、充分だよ…」


抱きしめた小暮の体が震えている。
小暮。小暮、小暮、小暮…!


「ごめんな、小暮……本当にすまない…。お前が、俺にうそつきって言うのも当たり前だ。俺は、ずっとお前を傷つけてたんだな…」
「綾小路…「でも!」


抱きしめていた小暮の両肩をつかみ、がばりと顔をあげ正面から向かい合う。

「お前を傷つけてばっかだったけど!うそつきって思うかもしれないけど!今更かも知れないけど!き、嫌いって言うのも仕方ない…いや、ほんとはすごくイヤで仕方なくなんかないんだけど仕方ないけど!」


俺も、俺の本気をお前に。


「――――好きなんだ!!
お前が、好きだ!!」

小暮を見つめ叫ぶ。
どうか、伝わりますように。

「頼むから…、ほんの少しでも、まだ俺を思ってくれるなら」


お前のためなら、俺のプライドなんてくそくらえだ!
俺は、小暮に向かって土下座した。

「あ、綾小路…!?」
「俺が、傷つけた分愛するから!
何度でも伝えるから!


―――――俺に、お前を愛させてくれ!!」



手遅れだなんて思いたくない。
絶対に、もう一度お前を手に入れるから。



手をつきながら、顔をそっと上げて小暮を見る。

「…っ、あ、やの、こうじ…、し、信じても、いいのか…?」

無言でゆっくりと頷く。

「お前が好きだ、小暮。」

もう一度言うと、小暮はぼろぼろと泣きながら、何度も頷いた。そして、


「………………俺も、好き。綾小路、好き…!」


俺を落としたあの笑顔で、そう言った。

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