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5

こちらに来る気配を感じて、咄嗟にベンチ近くの木陰に身を隠す。



歩いてきたのはやはり西条と、そして小暮だ。



くそ、俺はあほか!二人の密会を近くで見ることになるじゃないか!
「邪魔したな」なんて、普通に出て行けばよかった!
後悔してると、西条がベンチに座った。



「小暮、どうした?お前も座れよ」
「…いや、俺はいい…」
「くくく、そう言うな。俺とお前の仲だろ?」



西条が渋る小暮の手を引き、無理やり隣に座らせた。
このシーンは、見ていてつらい。くそ。



「俺は最近機嫌がいいんだ。マジで楽しくて仕方ねえぜ、なあ小暮?」

くつくつと笑いながら小暮の髪をいじる。

「…いつまでこんなこと続けるつもりなんだ…」

俺の隠れている木陰は、ベンチのすぐ斜め前だ。葉が茂ってるので向こうからは見えないが、こちらからはよく見える。
…小暮の、ひどくつらそうな顔も。



「そうだなあ、まだまだしばらくは続けるつもりだぜ?こんな面白い遊び、やめれねえよ。くくく、俺とお前が連んでるのを見てからの綾小路、知ってるか?
ほんとに見物だぜ?まさにどん底、ザマアねえ!はっはっは!」

西条が、腹を抱えて笑う。

「どん底って…」
「なんだ、知らねえのか?は、無理もねえか。俺の許可がない限り接触は許してねえもんな。いいぜ、教えてやるよ。あいつはな、今会長としての仕事もミスばかり、テストは散々、意気消沈でまさに生ける屍だぜ。あの、学園ナンバーワンの男がだ!」
「そんな…、どうして…」

小暮がショックを受けた顔をする。

「くく、お前のおかげだぜ、小暮。
あの時、コソコソとここに入っていくお前をまた何かやるのかとあとをつけたら、綾小路と密会してるんだからなぁ。話してる内容を聞いてやろうかと近寄ったら、綾小路が飛び出して。一人残されたお前に近づいたら、お前が懇願してきたんだよな。
『綾小路は俺が無理やり呼び出しただけだ、このことは頼むから黙っててくれ』って。
そうだよな、生徒会長で学園首席、大財閥の御曹司のナンバーワンな男が、呼び出されたにしてもお前みたいな学園の問題児と密会してたなんてバレたら、失脚するかもしれねえもんな。」


西条の話に、頭を打たれた感覚が走る。
あの時、こいつがいたのか!
いや、それよりも今の内容だ。西条はなんて言った?
小暮が、黙っててくれと、懇願したと。
確かにそう言った。

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