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4

生徒会室を飛び出したあと、俺は温室に来ていた。


かっとなって飛び出したはいいが、走っているうちに頭が少し冷えた。



西条に、文句を言ってどうする?
どういう状況で一緒にいるようになったかはわからないが、今の状態は小暮が望んだことで。ひどい言われようをしても一途なあいつはそれでも側に居れるならと考えているのかもしれない。

例えば、俺が西条に意見したとしたら。



あいつは、鼻で笑って小暮を突き放すかもしれない。



そうなると小暮はどうなる?
小暮はバカだから、きっと言われるままに西条から離れるだろう。そして、人知れず泣くのだろう。


ベンチに座り、背もたれに頭を預け天井を仰ぐ。このベンチは俺と小暮がいつも練習をしていたベンチだ。



小暮。小暮。
目をつぶり、小暮を思い出す。

西条に髪にキスをされて、真っ赤になっていた小暮。
そのあと、すれ違ったとき…



…そこまで考えて、二人に会ったときの事を思い出した。


初めて二人でいるのを俺が見たとき。小暮は、一瞬だったが確かに泣きそうな顔をした。
最後すれ違ったときも、一瞬ひどく辛そうな顔をしなかったか…?



「…どういうことだ?」



西条が好きなら、俺に見られたら『側に居れるんだ』と嬉しそうな顔で合図してもいいはずだ。
だって、俺に好きな奴がいると相談してたんだから。



考えていると、温室に誰か鍵を開け入ってくる気配がした。
二人だ。
役員の仲間かと思いじっとしてると、ガチャリと中からカギを閉める音がした。



――――あいつらの誰かじゃない。役員なら、カギなんてかけないだろう。別にそうする必要なんてないから。

じゃあ、いつならかける?


それは、今の俺のように人に見られたくない場合だ。


ここは生徒会専用で、役員しか鍵を持っていない。
だが、唯一例外がいる。生徒会でも、間違いを犯す奴がいることがある。俺たちの中に、そんな奴はいないが。そんな、万が一権力者が不祥事を起こした場合取り締まることのできる最高権力者。



――風紀委員長だ――

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