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3

こい。濃い、鯉、



「………恋?」



「魚の鯉じゃないですよ」

山本、お前は俺の頭の中を読めるのか。

「恋です。ひとを、好きに、なること。
会長は、その人が好きなんですよ。恐らくですけどね」
「〜〜〜っぶはははは!は、はつこい!
あんな爛れた性生活してた人が、初恋とか!!超ウケる!
いでっ!く、草壁ちゃん、暴力反対!」



腹を抱えて笑う上村を、草壁がファイルでばしばしと叩く。



「上村先輩ったら!しかたないでしょ、会長は今まで来るもの拒まずで入れ食い状態だったんですから!感情が追いつく暇なんてなかったんですよ、ヤリまくりで!」


うん、なにげに一番ひどいな、草壁。



「その方に、今と同じことを言ってみてはいかがですか?」
「…いや、そいつには好きな奴がいて。
…多分だが、付き合ってるんだ。最近、よく2人一緒にいるのを見かける…」
「うはあ〜!気付いたときに失恋とか、超切ないね!って、いたいいたい!草壁ちゃん、角はいたいよ!」


上村を草壁が辞書で叩いたらしい。


「上村先輩がデリカシーなさすぎだからです!
会長、多分って言いましたよね?ご本人に確認してないんですか?」

確認するもなにも、相談を受けてたんだよとは言えなかった。


…そういえば、小暮から好きな奴の名前は聞かなかったな。
だが、あの状態から言って小暮の好きな奴は、西条で間違いないだろう。

ますます落ち込んでしまった俺に、役員皆黙ってしまった。


「そういや一緒にいるって言えば、風紀委員長なんだけどー。ちょくちょく小暮といるじゃん?」


場の空気を変えようと、上村が話し出す。
だがよりによってそれかよ。一番聞きたくない話だっつの!


「よく見かけるもんだから、西条の親衛隊を中心に小暮は恋人なのかって噂が広まって。
親衛隊長が西条に直に聞きに行ったらしいよ。
そしたらさ、『こいつが勝手に側にいてるだけだ、風紀として問題児を監視するのも一つの役目だから居たいってのを利用して監視してるだけだ』って言ったんだって。
小暮の目の前で。
例えばほんとに恋人だったとしたらさ、親衛隊にちゃんと報告しない?
側にいたいって小暮が言ったっていうけど、何もない奴にそんなん言わないよね。もし小暮が西条好きなんだったら目の前でそんな言い方するのひどくない?」
「なんだと!?」


上村の話を聞いて、がたんと勢いよく立ち上がり、上村の胸ぐらをつかむ。


「気持ちを、利用してるだと!?
そう言ったのか、西条が!」
「え、え、あの、親衛隊長がそう言ってたよ。おれ、部活が一緒だから本人から聞いたんだよ、まちがいない
って、苦しい!ギブギブ!」


上村をつかむ手に、思わずギリギリと力が入る。

「あの野郎、小暮がどんな思いで…
――――くそっ!!」


どんっ、と、上村を離して生徒会室を飛び出した。



「びっ…くりしたあ、見た?今の会長!超苦しかったし!殺されるかと思ったよ、まじで。」
「それよりも…今のでわかった事実にびっくりですよ」
「…会長、小暮が好きだったんだ」

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