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8

また泣き出した俺を、一夜はぎょっとして慌てて抱きしめてきた。



「ごめん、違うんだ。違うんだよ和ちん。
…うそって言うのは、俺が大好きって言ったことに対する和ちんの返しで、無理矢理恋人って言ったこと。」

やっぱり、一夜はそんなつもりじゃなかったんだ。
わかりきってるのに、悲しい。

「…和也、好きだよ。」

泣き続ける俺を抱きしめながら、一夜が言った。
そして、俺の頬を両手で挟み、顔を上げて目を合わせる。


「俺ね、ずっとずっと和也が好きだった。
友達としてなんかじゃない、いつからかなんてわかんないくらいもうずっと昔から、和也しか見えてないの。でも、俺ってヘタレだから、嫌われたりもう側に居れなくなったりするのが、この関係が壊れるのが怖くて、言えなかった。」


一夜が、俺を見つめながら話す。
それは、俺がずっと思っていたこと。


俺も、お前との関係が壊れるのが怖かった。


「ほんとはね、大学が違うってわかって、諦めようと思ったんだ。側にいたい、でもこのまんまじゃ辛くて、和也から離れようって思った。でも、離れることを考えて、もし大学で和也が誰か他の奴と付き合ったら、とか考えたら余計に苦しくて。
そんな時、親から一人暮らししろって言われて。チャンスだと思ったんだ。」
「チャンス…?」
「うん。いっぱい考えたんだけど、俺はやっぱり和也がいなくなるのも、他の誰かの物になるのも考えられない。それなら諦めずにアタックしようって。
まずは一緒に暮らそう。そんで、じわじわと攻めていって、俺なしじゃいらんなくしてやろうって。一人暮らしなんて、初めからする気なかったんだよ。俺は絶対和也と住むつもりだった。おじさんおばさんに、先に話を持ってったのも、和也に逃げ道を与えないためだったんだ」

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