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4

「うわっ、和ちんごめん!タオルタオル!」

俺の肩を組んでるイケメンくんを、慌てて一夜が引き剥がしタオルで俺の服を拭く。

「いいよ一夜、俺脱いでくるから」

眉を下げて情けない顔で謝りながら俺を拭く一夜に、にっこりと笑いかけて立ち上がり、洗面所へ向かった。洗面所は、リビングの扉を出て玄関につながる廊下に面してる。パジャマ代わりにしてるTシャツが置いてあるから、それを着よう。

洗面所で濡れた服を脱ぐと、後ろの洗面所の扉から人が入ってくる気配がした。一夜かと思って振り向くと、そこにいたのはさっき俺に絡んできたイケメンくんだった。

「…なんですか?」
「いや、酒ぶっかけちゃってごめんね?って思ってさ。」
「や、気にしないで下さい。着替えればすむことなんで」

イケメンくんは、洗面所の扉前に立ったままこっちをずっと見てくる。
じっと見られて、何だかイヤな感じだ。

「…あの、俺も着替えてもう出ますんで…」
「和也君さあ〜、色白いよね。線も細いし、ぎゅってしたら折れちゃいそう」

クスクス笑いながら、一歩近付いてくる。

「あ、の…」

何だか怖くて、思わず一歩下がる。

「ね、ほんとに一夜とはただの幼なじみなの?あいつ手早いんじゃないの?和也君、一夜にやられちゃったりしてない?」

ニヤニヤ笑いながら近付いてくるイケメンくんのセリフに、かっとなる。

「い、一夜はそんなことしない!」
「あれ〜?そうなの?じゃあ和也君、色々溜まっちゃってんじゃないの〜?」

少しずつ近付いてくるのに合わせて下がっていたら、後ろの壁にぶつかった。

顔の両脇に手をつかれ、閉じ込められる。

「ど、いてください」

自分の置かれてる状況が飲み込めない。
目の前にいるイケメンが怖くて、声が震える。

「オレね、バイなの。和也君みたいなの、ちょっとタイプなんだよね〜。いじめたくなるタイプ?なあ、ヤラしてくんない?」

ニヤニヤと笑いながら、とんでもないことを言い出した。

「い、いやに決まってんだろ!どけ!」

慌てて押しのけようとする手をあっさり掴まれ、壁に縫い止められる。

「くそっ、はなせ、離せよ!」

もがいてもちっとも動かない。
マジでやばい。

「だぁめ〜。せっかくこんなおいしそうなかっこしてくれてるんだし?」

男の一言にはっとする。オレ、今上半身裸だった!
かあ、と顔に熱が集まる。
男の顔がいつの間にか目の前にあった。



――キスされる!



慌てて顔を背けると、頬にそいつの口が当たった。

「あー、何避けてんの?むかつくー」
「むかつくのはこっちだ!いいかげん離せ!向こうにみんないるんだぞ!」
「だぁいじょうぶだって、みんな酔ってんだから二人くらいいないの気づかないって」
「う、あ!」


首に顔を埋めたと思ったら、ちくりと痛みが走った。

「っ、やっ!」

そのあと、ねっとりと舐められる。

いやだいやだいやだ、気持ち悪い気持ち悪い!

「あは、感じた?」

なわけねーだろ!
暴れても暴れても、びくともしない。マジでやばい、こいつ本気か!?

「ね、諦めて楽しもうよ。オレ結構巧いよ、めっちゃ気持ちよくしたげるからさ」


ニヤリと笑い、再び顔を近づけてくる。


「い、やだ…、


――助けてっ、一夜!!」

ドガッ!
という音と共に、目の前から男が消えた。



「――――なにしてんの?」

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