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3

「おーい、なにしてんのー?早くこっち来いよー」

リビングにいるほかのメンバーが、声をかける。

「んじゃ、同居人くんもどうぞー!」
「あ、おい!」

一夜が止めるまもなく、一夜に抱きついていた人が俺の手を引っ張ってリビングに連れて行った。

「どーぞどーぞ、座って〜」
「はじめましてー!あはは、同居人くん名前なんてーの?」
「一夜とどーゆー関係?」

知らない人たちの間に座らされ、次々と話しかけられる。みんな飲んできた後だからか、すごくテンションが高い。
俺、人見知りすんだよね。こんないきなり話しかけられると、うまく返せない。

「え、と、安西和也です、はじめまして。一夜とは家が隣の、幼なじみなんです」
「幼なじみー!一夜そんなんいたの、初耳ー!」
「うるせえな、お前等に別に言う必要ないだろ!」

げらげらと笑う友達に、一夜がむっとして返す。

『言う必要ない』

どういう意味だろう。おれみたいな平凡な幼なじみがいるなんて、人気者の一夜には隠したい事実なんだろうか。

一夜の言葉が、胸に刺さった。

「でも和也君て地味だねー。一夜の周りには珍しいタイプ」

確かに、一夜の周りは派手で目立つ奴らが多い。今日来てるサークルのメンバーたちも、みんなイケメンばかりだ。

なんだよ、俺みたいな平凡が一夜の側に居ちゃおかしいのかよ。
さっきの一夜の言葉もあって、下を向いて苦笑いするしかできなかった。

「地味って言うな!和也はお前等みたいなちゃらちゃらした奴らとは違うんだよ、誠実そうだって言え!」

一夜が俺をフォローしてくれた。嬉しくて、ちょっと気持ちが浮上する。隣に座ってた一夜とは違うタイプのイケメンが、俺の肩を組んできた。

「誠実そうね〜、確かに。…つうかさ、意外にムッツリだったりして。ね、和也君て童貞でしょ?」

そう言って、どんどん身を乗り出して顔を近づけてくる。
ちょ、近い近い!

「お前いいかげんにしろよ!」

一夜がイケメンくんの肩を掴んで引っ張ったら、そいつの持っていた酒が俺の胸にびっしょりとかかってしまった。

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