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4

「なにしてんの?授業、もう始まってるよね。」
「「「!の、野々宮さま…!」」」

現れた男を見て、皆驚いて目を見開く。
野々宮真尋。二年生で一番のイケメンで生徒会長を務める男だ。太陽が白馬の王子さまなら、野々宮は知的な王子さま。なんでこいつがここに。

「教室に戻りな。今ならまだ少しの遅刻ですむよ」


野々宮に微笑んでそう促され、チワワたちは顔を真っ赤にしてパタパタと教室を出て行った。


「君は…」
「ああ、俺も行くよ。ありがとな、助かった」


あのままだったら、きっと俺あいつら泣かしちゃってたから。
野々宮に礼を言って出て行こうとすると、腕を捕まれた。

「なに?」
「確か唐津、だよね。一年の薬師寺にいつもくっついてる」

またか。あーもうめんどくさいからなんでもいいや。俺はため息をついて掴まれている腕を振り払った。

「だからなに?あのさ、太陽になんかあるなら直接向こうに言ってもらいたいんだけど」

俺がそう言うと、野々宮はちょっと目を大きくしてからふふ、と笑った。

「否定しないんだ。」
「まあ、一緒にいるのは事実だしな」


肩をすくめてそう言うと、野々宮はとても楽しそうに笑った。

「おもしろいね、君。なあ、俺と友達にならない?」
「は?あっ、ちょ、おい!」

言われたことにぽかんとしてると俺の制服を漁り携帯を取り出して勝手に操作しだした。

「はい、登録ー。俺野々宮真尋。二年五組。」
「知ってるよ、生徒会長だろ。つかなに勝手に人の携帯いじってんだよ。最悪。」
「君ほんとにおもしろいね。俺のプライベート携帯知りたくてたまんないってやつ多いのに。あ、登録抹消しないでよ?真尋(はぁと)って登録しといたから。」
「はあ!?気持ち悪いことすんなよ!
つかお前のプライベート携帯なんて別に知りたかねえよ。めんどくさいこと嫌いなのに」


めんどくさいのは太陽だけで十分だ。げっそりと新しく登録された電話帳を見る。うわ、ほんとにハートついてる。キモイ。


「これからよろしくね、唐津アキラ。仲良くしてよ」
「あ?あ、ああ…」


うん、まあなんにせよ友人が増えるのはいいことだ。


「さ、授業に戻ろうか」
「おい!手!」


俺の手を握り、楽しそうに教室を出る野々宮。
ま、いいか。
手をつながれたまま、教室に戻ってきた俺を見た友人がびっくりして目を落ちそうなほど見開いた。

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