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5

野々宮とメアドを強制的に交換させられてから数日、野々宮は結構頻繁に俺に連絡をしてくる。とはいえ、内容はごくごくくだらないもので
『今日は夜更かししてねむたい』
とか
『社会の先公が実はかつらだった』
とか、本当にたわいもない話だ。俺は野々宮とメールしながら、野々宮って結構普通の奴だったんだなあと新しくできた友人としてごく普通に接するようになった。
今も野々宮からくだらないメールがきて、ぽちぽちと返信をしている。送信完了ボタンを押すと、部屋のインターホンがなった。

「あっくん〜、ひさしぶりい〜」

ドアを開けると同時にがばりと俺に抱き着いてきたのは、太陽だった。

「うわ!酒くさい!お前なに飲んでんだ!」
「えへへ、クラスの奴と遊んでたら罰ゲームでチューハイ一気飲みさせられたんだよ〜ん。」

へらへら笑いながら俺を抱きしめる。ろくでもねえな、おい!つか飲んでたらなんでここに来るんだ。

「ん〜、だって最近あっくんとあんま一緒にいないしい〜。お酒飲んだら会いたくなっちゃってえ〜」

ぐりぐりと頬ずりしてくる太陽を寝室まで運んでやる。

「会えないって、仕方ないだろ。お前が大体最近一緒にいるやつができたからってそいつといるんじゃん。…崎田、だっけ?恋人なんだろ?」

俺が崎田の名前を出すと、太陽の体がびくりと硬直した。

「…なんでしってるの」
「たまたま聞いたんだよ。びっくりしたけど、まあいいじゃん。お前、俺がいなくても大丈夫だったんだな。そいつ、いいやつなんだろ?お前が付き合うくらいだから」
「ちがう!あっくん、俺は…」


太陽が何か言おうとしたとき、俺の携帯にメールの着信音が鳴った。携帯を取り、ぱかりと開いて確認すると野々宮だった。
返信は後でするか。
一度開いた携帯を閉じ、振り向くと真後ろに太陽が立っていた。

「うわっ、な、なんだよお前!びっくりするだろ!」

驚いて抗議するも、太陽はじっと俺を見たまま動かない。体が幾分かふらりふらりと揺れている。だいぶ酔ってるな。

「もう寝ろよ。ベッド使っていいから。」

太陽をベッドへ寝かせようと腕を伸ばした瞬間、太陽は俺の手を引きギュッと抱きしめてベッドに倒れこんだ。

「うわ!」

足がもつれて反転して倒れたため、太陽にのしかかられる形でベッドに倒れる。

「重てえ!太陽、どけ!」
「…あきら…」
「たい、、…っんん!!」

太陽は、俺を組み敷いたまま俺の口を塞いできた。

「ン―――!!んん――――!!」

しばらく俺の舌を味わった後、ようやく太陽が口を離す。長く続いた深いキスに、俺は息が上手くできなくてやっと解放されてはあはあと呼吸を荒げていた。

「てめえっ、何す…」

文句を言ってやろうと太陽をにらんだら、奴はずるりと俺からずり落ちた。
…寝やがった、このやろう。

「…あきら…きだ…、あきら…」

寝言で、『あきら、あきら』と繰り返す。途中で何か言ってるようだがろれつが回っておらずよく聞こえない。
そう言えば、こいつの恋人の崎田ってやつも、字は違うけど俺と同じ『あきら』だっけ。

「は、はは…。こ、恋人と間違うなよな、失礼な奴だな。」

言いながら俺は、真っ赤な顔でがくがくと震える体を必死に動かし太陽を残して寝室から出た。



end

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