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ぎゃあぎゃあと喚くが、当の本人はしれっとしてやがる。なんだかこっちが疲れてきた。ああもう!
「はあ…わかったよ、いいよもう。オレがソファで寝るよ。そのかわり毛布だけ貸してくれよ。」
あいつに背中を向け、キッチンに行って、買ってきた食材を冷蔵庫に入れる。
ため息をついて言ったけど、ほんとの本音はあいつに風邪なんて引いてほしくない。昔からそうだ。おもちゃの取り合いだってなんだって、おれがいつも先に折れる。
結局あいつにはとことん甘いオレだから、あいつが寒い思いするぐらいならなんて思っちゃうんだ。
急な雨だったから傘を持ってなかった。シャワー浴びようと振り返ると、いつの間にかあいつがオレの真後ろにいた。
「うわっ、なんだよ!びっくりしただろ!」
気配なく側にくるなんざ忍者かお前は。無言でじっと見つめてくる。なんなのもう。
「なに?あ、のどでも渇いたか?オレが邪魔なのか。ごめん」
「…暖かくなってきたけどまだ夜はさむいよ?ソファでなんか寝たら風邪引いちゃうよ?」
子犬のような目で見つめながらあいつが言った。
「わかってるっつの!でもしゃーねえだろ、うちは客用布団なんてないんだし、お前もソファはイヤなんだろ?どっちかはソファで寝なきゃだめなんだし、だったらオレがソファで寝るしかねーじゃんか!」
なんなんだもう、ムカつく!大体お前のせいだろうが!
「一緒にねればよくない?」
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