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放課後、陸斗が見回りをしていると体育館裏で何やら揉めている声が聞こえる。
「だから白馬さまに近付かないでって前も言ったでしょう?」
「あの方は高嶺の花なんだから!あんたはふさわしくないんだから!」
ぎゃいぎゃいとわめいているのは、陸斗のファンクラブの面々で、以前高雅を呼び出したメンバーだ。
ということは。
「神凪高雅、聞いてるの!?」
――――ああ、やっぱり。
そういえば、高雅は余りにも普段の態度が変わりないのですっかり失念していた。端から見れば高雅が以前のように一方的に絡んでいるように見えるのだろう。特に、私のファンクラブには。
きちんと事情を説明しようと一歩前に出た時。
「えー?やだよ。高嶺の花とかふさわしくないとか関係なくない?」
高雅がファンクラブに反論した。詰め寄っていたみなは驚き口を開ける。それもそうだ、高雅は以前飄々と流しただけで『嫌だ』などときちんと言葉を返しはしなかったのだから。
「な、なに言ってるの!?前も言ったでしょう?白馬さまは困ってらっしゃるんだから!」
「嘘だァ。だって陸斗毎日ちゅうしてくれるもん。毎日えっちしてくれるもん。俺のこと、好きだって言ってくれるよ?俺も陸斗好きだもん。にゃはは」
「「「な、なんだって!?」」」
さらりと爆弾発言をした高雅に、ファンクラブの皆が声をそろえて驚愕する。
校舎の影では陸斗が口を手で押さえ、必死に笑いをこらえていた。
――――ああ、このおバカなにゃんこはもう。
陸斗は深呼吸すると、背筋をのばし校舎の影から姿を現した。
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