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舌を絡ませた後、ゆっくりと離れようとする陸斗を高雅が追いかける。
「やだ、やだ…もっとして…、もっと、ちゅうほしいよぅ」
ぐずぐずと泣きながらキスをねだる高雅の頬を優しく撫でる。
ああ、なんて愛らしい。
でも、まだ。言葉にはしたが自覚は足りないんじゃないか。一つずつ、確かめてやろう。
陸斗は親指で高雅の唇を撫でる。
「…キスが好きですか?」
「ん…、すき…」
「キスだけ?会長ともする?」
陸斗の言葉に高雅は目を見開き、その目を潤ませる。
「やあ!なんで、なんでそんなこと言うの?やだやだ、会長、さっきやだって言った!…ひっ、ひっく…、うぅ、やだよぅ…会長やだ、かいちょうきらい!
りくと、りくと!りくとがいい!りくとのちゅうが好き…!うえぇん…」
泣きながら必死に訴える高雅に、歓喜で体が打ち震えるのがわかる。
…あと少し。後少しだ。
「好きなのは私のキスだけですか?」
キスだけ?陸斗のキスだけ?
「…ふ…、ちが…、違う…。」
「じゃあ後はどこが好き?」
優しくキスを顔中に降らせながら、高雅に尚も問いかける。
「俺を触る手も好き…、俺を呼ぶ声も好き…、俺を見るその目も好き…。
…………りくとの全部が好き…!」
――――――――言った。
ついに、ついに言った。気付いてくれた!
「ご褒美ですよ、高雅」
陸斗は高雅を思い切り抱きしめ、キスをした。
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