7
薄暗い部屋の中で、乃愛は大きな瞳を丸くし数回瞬きを繰り返す。
俺の言葉の意味を理解していない彼女は、不思議そうに首を傾げた。
口許にべったりと付いた唾液を拭い、自身の唇をなぞる。
「咲…眠れないの…?今日は一緒に寝るの…?」
当然普段から別の部屋で眠りにつく俺が、深夜に乃愛の部屋にいることはない。
寝ぼけた思考で彼女はいつもとの違いを察すると、柔らかな唇を指で摘む。
先程の行為から、唇が気になって仕方ないらしい。
「…さっきの、なに…?」
『何って、キス』
「キス?おでこにするやつ?」
無垢な彼女に、性的な事は何ひとつ教えてはいない。
理解していることと言えば、動物の雄と雌が交尾を行い繁殖する事ぐらいだろう。
人間がそれに当たる事など、彼女は知らない。
身を持って、経験するまでは。
狭い箱の中では、俺の与えたものが彼女の知識の全てなのだ。
『さぁ、乃愛。
俺の為だけに生きて、いい声で鳴いて』
バサッと掛け布団を乃愛の体から引き剥がすと、ギッ、と大きくベッドを軋ませ、彼女の体に馬乗りになる。
「っ、やっ…、咲っ…動けないっ…!どいてっ」
『優しくするんじゃ、つまらないだろ?乃愛が嫌がる事しないと』
「咲っ…やだっ、なに……怖いっ…」
『…じゃあ、もっと怖いこと、しよ』
ブチ、ブチっと乃愛の衣服を強引に引き裂くと、外れたボタンが数個床に弾け飛んだ。
左右に引き裂かれた衣服から、小ぶりながらもしっかりと実った二つの膨らみが顔を出す。
今まで見せた事のない俺の姿に、乃愛はいよいよ恐怖を感じ始めた。
壊れものに触るように、今まで大切に育てた少女。
暴力と言う名の性行為で、彼女を壊す。
今日俺は、彼女を穢す。
8 / 22
←前へ 次へ→