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「いやっ…、いやぁ…、怖いっ、咲っ…!」
短い悲鳴のような声を上げながら、乃愛は必死に抵抗を始めた。
か細い腕で俺の躰を押しのけようと力を込めて抗う。
あまりに無駄な行為に、笑いが込み上げてくる。
彼女の行動は俺の加虐心を煽るばかりで、まるで逆効果だ。
パンっと乾いた音が室内に響き渡り、乃愛は自身の頬を震える手で押さえた。
鋭い痛みが彼女を襲い、張られた頬が赤く染まる。
「さくぅ…痛いっ…」
恐怖に見開いた目から、ぼろぼろと涙が零れ落ちた。
『…おとなしくしてないと、もっと痛いことするよ』
低く呟いて歪んだ笑みを乃愛に向けると、彼女は肩を震わせしゃくり上げた。
何が起こっているのか、これから何をされるのかも分からない状態で悲痛な声を上げる乃愛が可哀想で、愛おしい。
「っ…ご、ごめん、なさいっ…咲っ、ごめんなさいっ…」
泣きじゃくりながら謝罪の言葉を口にする。
すっかり抵抗する気も失せたように、俺の下で乃愛はただ震えていた。
悪いのは、キミじゃないんだよ。
このどうしようもない程の欲望を抑えきれない、俺が悪いのに。
涙と恐怖に支配された乃愛の顔を見つめたまま、引き裂いた衣服から覗く小ぶりな乳房をぎゅっと鷲掴む。
「ひっ…、」と短い悲鳴を上げ、乃愛は苦痛に顔を歪めた。
『…いい子にしてたら、優しくしてあげる』
俺のささやかな救いの言葉に縋りつくように、乃愛は首を縦に何度か振った。
…そういう従順なところが、可愛くて仕方ないよ。
両手で左右の胸を寄せ上げ、色素の薄い乃愛の乳首にそっと吸い付いた。
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