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「ひゃ、ぁっ」
唐突に乳首に吸い付かれた瞬間、乃愛はその刺激に驚いたように甘い声を響かせた。
舌で転がすように舐め上げ、ちゅうっと吸い付いていく。
「あっ、は…、んんっ」
乃愛は俺の肩に汗ばんだ手を置くと、自分の胸がしゃぶりつかれている様子を首を小さく横に振りながら見つめた。
「っ…、いっ、あ」
乳首に歯を立てれば痛みに躰をびくっと小さく跳ねさせ見悶える。
そんな彼女の反応を楽しむように俺はねっとりと舌を絡ませ赤くなった乳首を包み込んだ。
「あ、ぁっ…さ、くぅ…」
はぁはぁと熱い吐息を漏らす乃愛の膣はきゅうっと縮小を繰り返し、最早彼女を支配するものは痛みだけではなくなった。
『…乃愛は奥が好きなのか』
「やっ…ぁ!」
低く呟き柔らかい枕に躰を預けた乃愛を引きずり下ろすと、腰を浮かせて奥を突き上げた。
痛がる抜き差しを避け奥をとんとんと突いていくと、乃愛は身を捩って枕にしがみ付く。
「あぁっ、あ、…やぁ、あっ」
『…気持ちいいのか、乃愛』
「んぅぅ、は、あ、咲っ…、さくぅっ」
蕩けた声で名前を呼ばれ、俺は息を乱した。
じっとり躰に汗が滲んで、自身の限界の近さを感じる。
奥を突き上げるごとに乃愛の中はうねりを増し、潤った厚い肉壁がすべてを搾り取ろうとするかのように吸い付いて離さない。
『…はっ、乃愛の中、すげぇ良いな』
息を切らして思わず漏れた言葉と同時に、口許に笑みが浮かぶ。
こんなに気持ちのいいセックスは久しぶりだった。
「さ、くっ…咲っ…」
短く喘ぐ合間に乃愛は潤んだ瞳を俺に向けると、両手を伸ばした。
何かを訴えるような視線を俺に向けたまま律動に合わせて躰を揺らしている。
『……なんだよ、抱き着きたいのか』
「あっあ、さくっ…さくっ…」
『…俺は、セックスの最中に誰かを抱き締めたことはないんだ』
そもそも“あれ”は、セックスと呼べるものなのか。
いつだって力で捩じ伏せ、凌辱と調教を繰り返してきた。
痛みと恐怖で屈ぷっくさせ、逆らう気力を奪っていく。
この屋敷ではそれが“普通”であり“日常”だ。
本来なら、乃愛にもそうしていたはずなのに。
「っ…、咲っ…、すき、すきっ…ぎゅって、して」
乃愛の唇から漏れ出た言葉に、俺は目を見開いた。
犯されているのに、それを言うのか。
『……乃愛、』
名前を呼ぶ以外に、言葉は出てこなかった。
俺を求めるように差し出された両手に吸い込まれるように、乃愛の躰をそっと包んだ。
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