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「――…っ!!」


言葉にならない苦痛に乃愛は顔を歪めると、躰をぶるりと震わせ腰を浮かせた。
突如襲い掛かった躰を引き裂くような痛みに目を見開き、一気に涙が零れ落ちる。

『っ…、さすがにきついな。全然入らない』

先端が乃愛の膣口へ入り込もうと押し広げるが、きつく閉ざされた厚い肉壁に阻まれる。
異物を拒むように乃愛の躰は強張り、俺自身を弾き出そうと更に入り口が収縮を繰り返している。

『……乃愛、苦しいのか』

声も出せずにぱくぱくと口を開閉させ、痛みを分散させようと瞼をぎゅっと閉じている。
流れ落ちる涙は彼女の耳元を幾度もつたってシーツに暗い染みを作り、その闇の深さに俺は眩暈を覚えた。


―…優しくしてやることだってできたのに。


敢えてこちらを選んだ。
自分という人間は、そういうものだと思っていた。


俺が欲しかったものは、本当に彼女のこんな姿だったのだろうか。


迷いが苦痛を呼ぶ。
乃愛以外の人間に、今まで自分がしてきたことを思い出す。
痛みに泣き叫ぶ姿も、恐怖に壊れていく姿も、散々見てきた。


今更、何を躊躇しているんだ。


俺は額に汗を滲ませ口許に怪しい笑みを浮かべると、乃愛の腰を掴んで引き寄せた。

「あっ、い、やっ…!痛いっ、いた、いっ、咲っ…!いやぁっ…!」

涙に濡れた顔に恐怖の色を滲ませ俺から逃れようと躰を捩る乃愛を見て、自分の中にある加虐心を呼び起こす。

乃愛の中を引き裂いて押し入ろうとする自身の肉欲を、欲望のままに突き進ませる。

『…どうせ辛いのは変わらないんだ。だったら、二度と忘れられないくらい刻み込んでおかないと』

静かに発せられた俺の言葉など、最早乃愛には届かない。

俺は乃愛の腰を強引に浮かせると、体重をかけるようにして一気に彼女の中へと自身を突き立てた。
厚い肉の壁を掻き分け入り込んだ脈打つ俺の欲は、めりめりと彼女の中が裂ける感触と共に強い快楽の波を引き寄せた。


「っ…、あ…、」


あまりの痛みに言葉を失い、乃愛は放心したように焦点の合わない瞳で天井を見上げた。
痛みに腰を反らして、躰を痙攣させている。

俺と繋がった彼女の結合部から僅かに赤い鮮血が滲み、透明な液体と混じってとろりと垂れた。


彼女の苦痛を和らげる術など、俺は知らない。


乃愛の柔らかく温かい体温が俺を包み込み、これ以上ないくらいにきつく締め上げる。
今にも達しそうな快楽の波に俺は眉間に皺を寄せると、深く息を吐き出した。



『乃愛…、聞こえるか…?やっと、ひとつになれたよ』





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