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雄史は誰にでも優しく、人懐こい笑顔が特徴的だ。
整った顔立ちに、人見知りしない彼の性格は、当然と言わんばかりに女子社員から人気がある。
夕食や飲み会の誘いを受けても、よく断っている姿を柚那は目にしていた。
その真相が、今日の告白に隠されていたとは。
「う、うそだぁ…」
『あのなぁ…、なんでこんな嘘つく必要があんだよ』
「だ、だって…雄史モテるし…」
『…俺はお前に好かれたいんだけど』
ストレートな雄史の言葉に、柚那の頬はみるみる赤く染まっていく。
告白などされ慣れていない柚那は、彼の真剣な眼差しにドクドクと心拍数が上がった。
雄史を男として意識した事がないと言えば嘘になるが、柚那にはこの告白を受けられない大きな理由がある。
「えっと…、気持ちは嬉しいんだけど…私…好きな人、いる」
言葉を選びながらそう告げるが、雄史の顔が見れない。
『…付き合ってんの?』
雄史はひょいっと柚那の顔を下から覗き込むと、揺れる瞳と視線を合わせた。
残念な事に、柚那は嘘を付くのが苦手であった。
言葉に詰まる彼女の反応が、雄史の言葉を肯定する。
『…なんだよ、この間彼氏いないって言ってたじゃん』
落胆したような雄史の言葉に、申し訳ない気持ちが柚那の中に充満した。
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