もう少し、ドアとの距離は後僅か。
部屋から出てしまえば、『あんな男はやめた方がいい』、そう、何とでも言えた。

仕事ではリーダーシップを発揮し、雄史から見ても上条は憧れの上司。
そんな彼の、プライベートで見せる顔など知る筈もない。

いや、寧ろ知りたくはなかった。

それが雄史の本音であり、自分が置かれた状況に対する答えだ。


しかし、思考を巡らせたのもほんの数秒。
彼の視線の先で、自身が好意を抱いている相手は頬を赤らめ、他の男の腕の中なのだから。


『…よく見てろよ。コイツが淫乱だって事、教えてやるから』

「っ…んっ…」


上条は黒い笑みと共に、柚那の背後から首筋に唇を寄せる。

右手は柚那の腰に回し、左手で器用に会社指定のベストのボタンを外す。
大きめのボタンを4つ程外し終えると、今度は上条の手がワイシャツのボタンへと移動する。


「あっ…だ、だめっ…」

抵抗の言葉を漏らし柚那は体を捻るが、がっしりと腰を掴まれ身動きが取れない。
ボタンの外れたワイシャツはその意味を半分失い、レースの付いた純白の下着が雄史の前に晒される。

直ぐ前に立ち尽くす同僚の姿に、えもいわれぬ羞恥が柚那の中を駆け抜けた。

「か、上条さんっ…!だめですっ…!」

『だめって、何が』

笑いを含んだ言葉でそう言うと、上条はブラのフロントホックを躊躇いなく外した。
直後解放された胸はぷるんと飛び出し、白くたわわな柔肌が淡い光の下に映し出される。


『ホックが前だと外しやすいな』

「やぁっ…んっ、あっ…」

下から持ち上げるように胸を揉みしだかれると、柚那の口からは反射的に甘い声が漏れ出した。


同僚の視線を、痛い程に感じる。

性行為を第三者に傍観されている。信じ難いその事実に、じわり、下腹部が熱くなるのを柚那は感じていた。





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