ひみつ基地


13



「実はあの日……、二人とあんなことしたあの日…、あの日の夜に、その…、きたの」

「…来た?来たって…誰が…」

「誰…じゃなくて、生理……きたの」

思いもよらない澄の言葉に、礼は目を丸くした。

「え、きたって…生理が?俺たちとした時は、まだって言ってたよな…?」

礼の問いかけに澄は頬を赤く染めると、恥ずかしそうに小さく頷いた。

「その…、初潮が、きて。私…すごくびっくりして…。お母さんに言ったら「おめでとう」って言われて」

「そうしたら、急に怖くなって……、いけないことしたみたいな気持ちになって…。私の躰、二人と違うものになったみたいで…すごく怖かった」

「二人が私のこと好きって言ってくれたことも、私の躰が違うから、三人一緒にいられなくなるのかもって…。今思えば、なんでそんなこと考えたのか分からないけど、あの時は変わってしまった自分の躰と、三人で一緒にいられなくなることが怖くて仕方なかった」

溜め込んできたものを少しずつ吐き出すように、澄は当時の自分の気持ちを代弁していく。
じんわりと再び目に涙が溢れ出すのを堪えるように、唇を噛み締める。

「…ごめんなさい、二人を傷付けて…。私、どうしても言えなかった…。恥ずかしくて、変わってしまったこと、知られたくなくて…。二人は何も悪くないのに、ずっと苦しめて本当にごめんなさいっ…」


震える声で謝罪の言葉を口にすると、澄の躰は突然温かい体温に包まれた。
礼によって抱き締められていることに気が付くまでには、少しの間があった。

「礼…あの…」

「ごめん、気付いてやれなくて」

すぐ耳の近くで礼の声が響き、力強い腕にぎゅうっときつく抱き締められる。

「澄に避けられたあの日、まったく理由が分からなかった。あんなことした後だったから、もうそれが原因ってこと以外考えられなくなってた。澄のことなら何でも分かってるつもりでいたのに、あの時のお前の行動の意味だけはどうしても分からなかった」

「…ずっと言えなくて辛かっただろ。ごめんな…俺たちがもっとしっかりしてれば、こんな長い間一人で苦しまなくてすんだのに」

宥めるような優しい口調でそう言うと、澄の頭に頬を押し付けながら柔らかい髪をそっと撫でる。
礼の所作すべてが澄の知っている彼そのもので、涙は止まることなくぽろぽろと無数に流れ落ちた。

「私っ…、本当はずっと二人といたかったっ…!ずっと一緒にいたかった…」

礼の胸元に顔を埋めて、今まで言えなかった言葉を口にする。
温かい彼の体温が、わだかまっていた心をゆっくりと解かしていく。

もう一度こうして触れたかった。
この優しさに包まれたかった。






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