birthday my girl

日付が変わると同時に灯ったランプは、私の誕生日を祝うメッセージを知らせる通知だった。沢山の友人や同僚などといった人たちからのお祝いの言葉に頬が緩む。けれど当日は仕事だと言った彼からのメッセージはその中には含まれていなかった。そりゃあ相手は芸能人として忙しい身だし、まだ今日という日は始まったばかりなのだからそんな贅沢なことを言ってはいられないよね。代わりに、なんて言ったら失礼だけど仲のいい友人と出掛ける約束をした私は早々に眠りについた。

友人とのデートが終わっても、そこに一番望むメッセージは通知を知らせてはくれない。忘れてる、なんてことは絶対に無いと言い切れるけれど夜にまでなって何もないのは少しだけ……いやものすごく寂しい。ずっと画面を見続けていてもなにか進展があるわけじゃないしお風呂にでも入ってこよう、そう思った矢先の事だった。

「っ!電話、」

突然光った画面とバイブ音、表示されたのは今日ずっと待っていたあの人の名前。

「もしもし、大さん?」
『悪い、今大丈夫だったか?』
「大丈夫です。お風呂に入ろうかなとは思っていたけど」
『そうか。……ちょっとだけ外、出れるか?』

もしかして、だなんて期待した自分がいた。それがもしかしての可能性ではなく、現実に、今、ここにいる事を、私は分かっていた。

「大さん……っ!」
「誕生日おめでとう、名前」

目の前に広がる大きな花束に思わず涙と笑みがこぼれる。

「、ふふっ」
「……なんだよ」
「こんなに大きな花束持ってる大さん、なんだか、ふふっ」

似合わないわけじゃない、ちょっと柄にないっていうのはあるかもしれない。けれど、私のためにこんなに大きなものを注文してくれたことが、それを当日に私の元に持ってきてくれたその事実が愛おしくてたまらないのだ。

「ありがとう、ございます」

今この瞬間、私は世界で一番幸せ者だと、胸を張って言えるだろう。

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Happy Birthday!



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