生徒会、集結















一際大きな爆発のおかげで本は盛大に舞い、

いくらかの本棚は勢いよく倒れた。


「……えっと……それ、どういう意味?」

「だからスリーサイズですよ!

 委員長ったらそんなボンキュッボンなスタイルしてて……

 はしたない…でもまたそこがいい……っ!!!」


何やら目覚めさせてはいけない何かを

目覚めさせてしまった様だ。

鼻血をダラダラと流す風花を余所に、

二人は苦笑いを零した。








「っハァ、ハァ………

 ………ふふっ、

 アッハハハハハハハハ!!!!」

「「!」」「っ………!?」


舞い上がる土埃から、

セナが姿を現す。

そんなセナの姿を見て風花は目を大きく見開かせ、

ルカとロビンは眉をひそめた。


「あれぇルカちゃんとロビンじゃん!

 どうしたの?

 もしかして僕らと混ざりたくて来たの?

 そうなの?ねぇ!!」


ギラギラと瞳を輝かせたセナが、

二人に笑いかける。

その姿は異質で、異常で、

完全に狂気を纏った壊れかけていた。


「……セナ生徒会役員。

 もう御遊戯も満喫したんじゃありません?

 そろそろその玩具も我々に引き渡して

 欲しいんですけども」

「えー?

 まだ僕全然満足してなぁい!

 幾らルカちゃんのお願いとは言え……

 簡単に玩具を引き渡したりはしないよぉぉ」


にたぁと笑みを浮かべるセナ。

その様子にムッときたのか、

ルカは挑発的な笑みを浮かべてみせた。


「…なら、

 私と一緒に遊びません?セナ生徒会役員」

「……ルカ、ちゃんと?」

「えぇ。

 その変わりにもう壊れた玩具は要りませんよね?

 ロビンに渡してください」

「…………」


ジッと何かを考えた後、

一旦セナは死角となる場所に行くと、

その手には自分よりも遙かに体格のいい少年たちを

引きずり出してきた。


「もう死んでたらごめんねぇ?

 久しぶりだったからどうも手加減ができなくってさぁ……

 ……クスッ……

 アハハハハァ!!!!」

「………ロビン」

「………あぁ」


ロビンが大人しくそれらの少年達を回収する。

その間、

セナとルカは黙ってお互いを見つめていた。


「……それでぇ……?

 今日はどんな事で遊んでくれるのぉ?

 隠れ鬼?追いかけっこ?」

「………そうですね……。

 何がいいでしょう」

「アッハハハ!何でもいいよ!

 ルカちゃんが決めちゃってぇ!」


そう言うと、狂いだした様にまた

あの甲高い子供特有の声で笑い出すセナ。

ルカはその様子をじっと見つめると、

セナには気付かれない様に

右手には自らの魔力で作った

即席の剣を握る。








「――そこまでだ、セナ」



「!!」


ピクリとセナの体が揺れる。

突然部屋に響いたその声の持ち主は、

出入り口を封鎖されているにも関わらず

悠々と部屋の中に侵入していた。


「…生徒会長……っ…!!」

「ルカもそこまでだ。

 やる気満々なのはいいが、

 これ以上校舎を…嫌、図書室を壊されちゃあ

 後で校長から愚痴がこぼれるってもんだぜ」

「………」


そう言って肩を竦める生徒会長は、

何の躊躇いもなく

狂気を纏ったセナの元へと足を進める。


「…僕を遠征に連れて行かなかった会長が

 よく制止をかけるもんだねぇ」

「おいおいまだその事で不貞腐れてたのかよ。

 そんなお前の前で悪事を働いたあいつらは……

 相当運が無かったんだな」


ロビンの元に居る少年たちを、

まるで憐れむ様な目で見つける。


「……ルイ生徒会長。

 それじゃあ後の事は貴方に任せていいの?」

「あぁ。

 ご苦労だったなルカ」

「!

 ちょっと待ってよ!

 ルカちゃんとは今から遊ぶ約束を―――」


今にも暴れ出しそうなセナの体を制止したのは、

こちらもいつの間にか室内に侵入していた

何人かの生徒会役員だった。


「セナ生徒会役員。

 いい加減…遊び疲れてはくれませんかね?

 その小さな体の何処にそんな元気が

 あるのでしょうか」

「っ……煩いよ…ライ…!

 生徒会副会長だからって……

 こんな…こんな……っ!!!」

「セナ、もういい加減抵抗するのも止めてくれないかな。

 僕らだって遠征で疲れてるんだからね」

「っ不音……!!

 …っう……ぐ………!」


暫くするとストンと力が抜けたのか、

一気に二人の腕にセナの体重がかかる。


「……どうやら寝てしまったみたいですね」

「……全く自分勝手で手のかかる子供だよ」


溜息をつきながら、

二人は眠ってしまったセナを傍にあるソファーに寝かせて、

改めて生徒会長、もとい

ルイの事を見つめた。


「後片付けはどうしますか?」

「生徒会のしたっぱの奴らを使え」

「かしこまりました」


ライはそう言うと、

胸元のポケットから携帯を取り出して

どこかに電話をかける。


「……セナへの処分は?」

「……まあ今回の遠征で

 こいつを連れていかなかった俺にも

 責任があるからな。

 一応一週間位の謹慎処分が妥当だと思ってるんだが」

「……会長がそう言うなら、

 僕は何も言わないけど」

「そうか、ありがとうな。

 ライに言ったらきっと

 甘いだのなんだの言われそうだけどな」


クククと笑うルイは、

やがてその視線をルカに移した。


「すまないな、ルカ。

 こっちの尻ぬぐいみたいな事をさせちまって」

「……別に。

 でもこれからは自分の部下の面倒位

 自分で見てくれるとだいぶ楽なんだけど」

「そうだな。

 迷惑をかけてすまなかった」



ルイはそう言うとパチンと指を鳴らす。

すると、

出入り口に張られている黄色いテープに

一斉にヒビが入り、

そして、

それらは砂塵の様に跡形もなく消えてしまった。


「あーあ、折角張った黄色いテープが……」

「また張ればいいだろ、ロビン」


にやりと笑うルイからは、

悪びれた様子など微塵も感じさせなかった。


「ったく……

 生徒会長もこんな所で特殊能力≠ネんて使わずに

 もっと別の事で使えばいいのによぉ…」

「生憎さっきの遠征で

 沢山使わせてもらったぞ、ロビン」


―――相変わらず二人が会話をしていると

どっちも似た様な口調だと改めて感じさせる。

そう思った一同だった。
















 



 ▼後書きのコーナー

 何故か落ちがルイとロビンの会話ww
 手抜きにも程がありますね、すみませんww

 それにしても風花の出番が全く無い……!!
 ごめんね風花!!←





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