凛としたその華は、






 





「ル……ルカ風紀委員長……!」

「嘘でしょう……なんであんな凄い人が、ここに……!?」



私の呟いたその言葉が啖呵を切ったのか、

それにつられて次々と野次馬達はざわめき始める。



「……………ねえ。

 今さっき私が言った言葉が、聞こえなかったの?」



「「「「……ッ!!!!!」」」」


風紀委員長の鋭い瞳が野次馬達に向けられる。


「…早くどこかに行って」


そう冷たく言い放つと、

風紀委員長はその鋭い視線を

セナが居るであろうそこに向けた。


「…全く。

 セナ生徒会役員も

 『人助け』っていう名目で今じゃあすっかり

 趣味を満喫してるみたいだし……。

 ……ロビン」

「ん?なんだ?」


少女の後ろからスッと姿を現す一人の少年。


「辺りの出入り口の封鎖、

 任せてもいい?」

「いいぜ!

 黄色テープ張るあの作業、

 オレ結構好きなんだよな」


既にその手には黄色テープがしっかりと握らており、

風紀委員長はその様子に

小さな溜息をついた。


「……ほどほどに張っておいてね。

 何せこの間なんて

 ロビンがテープをぐるぐるに何重にも張り過ぎたせいで、

 そこから出られなかったんだから」

「おいおいまだ根に持ってんのかよー一ヶ月も前の事を」

「……二時間もそこから出られなかった私の身にも

 なってみてよ。

 血の匂いは充満するし

 服にもその匂いはつくし、

 体にべたべた付いた色んな物≠ェ

 こびりついちゃって中々取れなかったし……」


色んな物≠ニいう単語にぞくりと来たが、

風花はあえて聞かなかった事にした。


「…………ねえ、

 貴方もいい加減そこから出て行ってくれない?

 なんでまだそこに居るの?」

「え?」


風紀委員長とばっちり視線が合ってしまう、風花。

その青い瞳は風花の事を確実に射抜いていた。


「いや、えっとその……

 ……セナにここから絶対に動くなって言われて……」


あはは…と小さな笑いを零す風花。

そんな風花の様子に風紀委員長は大きく目を見開いた。


「…貴女もしかして、

 セナ生徒会役員のクラスメイト……?」

「はい、

 今日転校してきたばかりの風花って言います!

 あの、貴方の名前も聞いていいですか……?」


『転校してきたばかり』という単語が効いたのだろうか。

滅多に名乗りたがらない風紀委員長が、

珍しく風花に微笑を向けて

自分の名前を名乗って見せた。


「……ルカ。

 私の名前はルカって言うの。

 青の学園の中高合同風紀委員会の委員長。

 よろしくね」

「…よ、よろしくお願いします……!」


その行々しい肩書きにどきまきしながらも、

差し出された手を軽く握る。


「んでオレはこいつの相棒のロビン!

 よろしくな!」


そして後ろから大きな声でこちらに声をかけるロビンに、

風花は「よろしくお願いします!」と

元気よく応えててみせた。 






「…それにしても、

 またセナの野郎は盛大に暴れてんなぁ……」


半分諦めたかの様に、そう呟くロビン。


「…最近大人しいと思ってたら

 一気に噴火しちゃって。

 全く……生徒会は何をやってるの?」

「なんでも役員達の殆どが遠征に行ってるらしいぜ。

 また他校との縄張り争いが

 活発化してきてるんだとよ」

「な、縄張り……!?」


風花は頬につうっと冷や汗が伝うのを感じた。


「そう。

 ここの学校は所謂『不良学校』なの。

 まあ『不良学校』の中でもまだ

 どちらかと言うと品はいい方なんだけどね」

「品……?」

「一応青の学園はこの国の『軍官学校』だからよ。

 だから勉強が出来ない奴でも、

 実力のある内はこの学校に居れるっていう訳だ。

 なんせこの学校のテストは筆記試験の他に

 実技試験もあるんだぜ?」

「え、ええぇ!?そうなんですか!?」


初めて知るその事実に

驚愕の表情を浮かべる風花。


「………」


そんな様子を黙ったまま見つめていた風紀委員長は、

ふと口を開いた。


「今の内になら、

 いくらかこの学校についての質問を

 私にしてくれていいよ。

 もう少しセナ生徒会役員の血が冷めてからじゃないと

 被害者を回収できなさそうだし」


未だ続く爆発音に、

本が宙に舞ってばさりと落ちる音。

確かにこんな大荒れしている場所に突っ込むなんていう馬鹿な事は

出来ない様だ。

風花はきらりと目を輝かせて、

風紀委員長の事を真正面から見つめた。


「…えっと、

 私的には『風紀委員長』に一つ質問したい事があるんですけど」

「……私に?」

「えぇ!!」


何故こんなにも満面の笑みをしているかが分からない

風紀委員長とロビンは内心首を傾げながらも、

曖昧な笑みを浮かべてみせた。


「あの……風紀委員長の……、」

「……私の………?」


すうっと息を大きく吸うと、

風花は荒い息でこう風紀委員長に質問した。





「風紀委員長のスリーサイズを教えてくださいっっ!!!!!」





「「…………え?」」


二人の困惑した声と共に、

セナが居るであろうそこからは

一段と大きな爆発音が聞こえた。















 ▼後書きのコーナー

 はい、最後の最後で
 風花の本性が出ましたね←
 
 それにしてもセナが暴れ過ぎですね……。
 次の話では暴れてるセナを
 ルカとロビンが止めればいいと思います。
 いいと思いますって……
 もうなんだか管理人の口調が変ですね、すみませんw





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