19:可愛い嫉妬

大正二年の二月半ば。竈門家で目覚めてから二ヶ月近くが経過していた。
最初は戸惑っていた原始的な掃除や料理、裁縫にも慣れてきて、今では色々と一人で任してもらえるようになっている。


「炭治郎君、掃除手伝うよ」
「炭治郎君、一人でたらの芽の天ぷら作ってみたの!食べてみて!」
「炭治郎君、洗濯物変わるから、少し休みなよ」
「炭治郎君、木炭ここにおいておくね」
「炭治郎君、未来ではこんなものがあってね」


「ずるーい!!!桜おねえちゃん、お兄ちゃんばっかり!えこひーき!」

膝枕で六太くんを寝かしながら着物のほつれを一人で修復していると、戸がバン!っと音を立て勢いよく開き、花子ちゃんが怒りながら部屋へと入ってきた。
六太くんに目線を配り、指でしーっとすると、はっとした花子ちゃんは静かにぷんぷんと怒りを表明。

「べんめいせよっ!」
「別に炭治郎君ばかり贔屓してないよ?」
「してるの!さっき、おやつのおはぎ、お兄ちゃんに半分あげてた!」

ばれてる…。と苦笑い。
あれは炭治郎君が自分のおはぎを茂くんと六太くんにあげて、炭治郎君の分がなくなっていたから、分け合っていただけであって。
浮気を問い詰める彼女に、しどろもどろになりながら言い訳をする彼氏状態で答える。

「あれは炭治郎君がおはぎをあげていたからで…、今度花子ちゃんにあげるからね?ね?」
「もう!おはぎはどーでもいいの!一番声をかけてるのも、真っ先にお手伝いに行くのも、お兄ちゃんばかり!花子ももっとかまって!」

おやおや?これは嫉妬してくれたってことでいいのかな?と、思わずにまにましていると、花子ちゃんの渇が飛ぶ。

「なに笑ってるの?!」
「ごめんなさい!」

嫉妬する女の子はかわいいなぁ、とにまける表情を抑え、花子ちゃんにおいでおいでをして、自身の横に座らせ、頭をなでなでする。

「ごめんね?花子ちゃんをないがしろにしたわけじゃないんだよ?」
「ほんと?」
「本当!花子ちゃん大好きだもん」
「花子のこと何番目に好き?」
「一番目に好き!(皆一番だけど)」
「じゃあ、…許してあげる」

ちょっとだけ怒りの表情が治まったけど、まだ拗ね顔の花子ちゃん。あと、もう一声で怒りを鎮められそうだ。

「ありがとう。今日は一緒に寝ようね?この間の話の続きもしてあげる!5人の女の子が変身して地球を救うやつ!」
「プリっときゅあじゃなくて、家政婦はミましたわ。がいい…」
「花子ちゃん意外に昼ドラ系好きだよね…」

今日一日花子ちゃんにべったりしていたら、機嫌はなんとか治りました。



※大正コソコソ噂話※
子供って、よく何番目に私の事好き?って聞いてきません?


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