17:遊戯
茂くんは、私が教えたゲームに一番はまった子である。すぐにルールを覚え、子供の柔軟思考能力と閃き力、生まれ持った才能なのか勘が鋭く、一日数回は要求してくるゲーム遊びに応えていたら、みるみる力をつけていき、今では
「ロイヤルストレートフラッシュ!僕の勝ち」
えげつなく強くなっていた。
スペードに揃えた5枚のカードを床に落とし、僕を超える人間はここにはもういないのだろうか、と哀愁漂わせながら呟く茂くんを見て、もしや私は大正版アカギやカイジと育ててしまったのではと、生唾を呑み込んだ。
トランプの様々な遊び以外にも、木片や台紙で作った、ジェンガ、似非麻雀・花札・ウノもマスターしていき、珍しい小石や、綺麗な落ち葉、セミの抜け殻、おかずのたくあんを戦利品として掻っ攫っていく茂くんは将来ギャンブラーにでもなるつもりなのだろうか。
茂くんは、世界の終わりを見てしまった哀しみの表情を浮かべながら、ため息を吐き出した。
「もう、僕についてこられるのは、桜おねえちゃんしかいないよ…」
「そ、そう?ありがとう…」
必要とされて嬉しいですけど、私はとんでもない事を教えてしまったのではないかと一抹の不安を覚えた。
※大正こそこそ噂話※
一番弱いのは炭治郎君だよ。ババ抜きとか嘘つけなくて顔に全部でちゃうのと、弟妹達に勝たせてあげちゃうから。