19、ジト目

※1章パラレル。全力でギャグです。茂くんごめんよ。


「桜さん」

責めるような視線と声色に、気まずさから顔を背けると、炭治郎君から鋭い指摘が入った。

「目をそらさない」
「はい…」
「駄目って言いましたよね?」
「あの…反省してます…」

炭治郎君の指先が柔らかいものを何度もつついている。ぷにぷにと言う可愛らしい効果音ではなく、ぼよんぼよんである。炭治郎くんの後ろには、取り上げたいくつかのお菓子。そして炭治郎くんと私の間には茂くんがしょんぼりと座っていた。

「だって、可哀そうだったからつい」
「その言葉、何度目ですか?」
「3度目です……」

炭治郎君は呆れるようにため息をつき、茂くんの頭を撫でる。

「桜さんのおかげで、茂も皆も前より美味しいものを食べれるようになった。それは感謝しています。とくに茂はお菓子が大好きなので、茂の笑顔を見れるだけで、俺も嬉しかったですし、多少丸くなっても茂は可愛いです。けど、さすがに…」

炭治郎君は茂くんの着物を勢いよくまくり上げた。

「さすがに、太りすぎじゃないですか!?」

そこから、ぼろんと大きな贅肉がこぼれ落ちる。

「茂はダイエット中って言ったじゃないですか!」

炭治郎君がこぼれ落ちたお腹をペチペチと叩くと、お腹の脂肪がぼよんぼよんと波たつ。
反省している様子の茂くんは私が出会った当初より3倍近くも横に成長していた……いや現在進行形でしている。顔はまるまるとして、お腹の贅肉はお饅頭を10個近く詰めたように、脹らんでいる。

この、茂くんのぼよんぼよんの原因は、半分以上私のせいだったりする。
茂くんにお土産としてお菓子を買っていくととても喜んでくれて、嬉しくなった私はそれを何度も何度も繰り返した。
最初、まだぽっちゃりしていた頃は、皆でお菓子食べ過ぎだよ〜と笑えてたけど、今はもう笑えないレベルまで来てしまっている。
流石にダイエットをしないと生活習慣病が!と言うことで、禁お菓子生活をスタート。最初は順調だったけど、日に日に我慢出来なくなった茂くんのちょっと頂戴(涙目の上目遣い攻撃)に勝てなくて、ついあげてしまい、その場面をというか、お菓子の匂いを感知した炭治郎君に3回共現行犯逮捕されたと言うわけ。


「反省してますか?」
「はい…もうしません」
「本当ですね?」
「うん。だから許して?炭治郎君」

本当に反省してますと目を潤わせて謝れば、ジト目だった炭治郎君は、ぐっと呻き声を上げて少しだけ頬を赤らめた。

「う、今回だけですよ」
「ありがとう炭治郎君!もうしません!ね、茂くん。一緒に頑張ろうね」

そして、ふりだしに(4回目)に戻る。




※奥さん「この子(犬)は今ダイエット中なの!おやつ上げないでって言ってるでしょ?!どうしてあげたの?!」
旦那さん「いやだって、欲しいよって上目遣いで見てくるんだよ…。可哀そうだし」
奥さん「何度言えばわかるの?!獣医さんに言われてるの!何か言われるのは私なんだからね!」
旦那さん「だって……」
みたいな感じの話です。


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