この気持ちに名前をつけるなら
マスク姿の美青年に説教されてから早一ヶ月が過ぎようとしていた。
あれから私は頑張って授業に出るようになった。
うちの女隊長には、どういう心境の変化なの、なんて言われちゃったりして……。
あの出来事を思い出すと、なんだか心拍数が上がって変な気分になるのだ。
「…名前ぐらい聞いておけば良かった」
そんな言葉を一人テラスで声に出して呟いていると、後ろから忘れもしないあの声が聞こえた。
「授業、あれからしっかり出ているみたいだな」
慌てて振り返るとそこにはマスク姿の美青年。
「あっ!この前の…!!」
私の慌てた反応を見るとフッと笑う彼。
「私が教えた昼寝の場所には行ってみたか?」
「え、あぁ!はいっ」
「そうか」
くれぐれも授業はサボらないようにな、なんて言いながらその場を後にしようとするものだから、私は慌てて彼に名前を訊ねた。
「名前は、そうだな。キミが授業をサボらなければ近い内に知ることが出来るはずだ」
そう言い残して彼はテラスを去って行った。
「……また名前、聞けなかった。それにどういう意味なんだろう…。」
彼の言葉の意味を知るのはそれから数日後のことだった。
1組、うちの隊長は女性。
女性だが容赦はないし、彼女は本当に強い人である。
実習の授業の前にうちの隊長である彼女はこう言った。
「皆に言わなければいけないことがあるの。実はね、私、赤ちゃんが出来てしまって実習の授業はお休みすることになってしまったの。そこでね、特別に他の組の隊長さんに実習の授業をお任せすることになったの」
本当に特別な隊長さんよ、なんて言う彼女は早めに闘技場に行くように、なんて付け足して言って行った。
闘技場につき、戦い方の実習の授業の準備をする。
準備をして列に並ぶ。
本当は実習の授業なんてめんどくさいからサボりたかったけど、彼との約束があるから頑張って参加するのだ。
代わりの隊長さんはどんな人なんだろう、なんて考えながらボケーっとしていると、いつの間にか代わりの隊長さんが来たようで周りの女子候補生が騒ぐ。
うるさいなー、なんて思いながら前を見ると頭の中が真っ白になった。
「――初めてとなるな。君達の隊長の代わりに実習の授業を受け持つことになった、クラサメだ。通常では0組の隊長をしている。何ヶ月間かは私が君達の実習の担当をすることになるのでよろしく頼む」
そう挨拶するのは、私が忘れるはずもないあの彼。
マスク姿の美青年だ。
驚いて唖然としている私に彼は気がついたのか、こちらを見て微笑んだような気がした。
気がしただけだけど、また胸の奥からドキンッと音がした。
「ユリア・グラン、この実習の時間が終わったら課題を出す。私の執務室まで取りに来てくれ」
「は、はいっ!」
彼に名前を呼ばれただけでなぜか嬉しくて、胸がドキンとして、体温が急に上がるような気がする。
私はこんな気持ちがなんなのか知らない。
私と彼の物語りは始まったばかりなのだから。
この気持ちに名前をつけるなら――(―――恋、って言うのかな?)------------------------
拍手の方で続編を読んでみたいとおっしゃってくださる方が居ましたので、調子に乗って書いてしまいましたー!
まだ続くような内容になってしまいました←
全然甘くなくてごめんなさい!
いっそのことシリーズ化しちゃえばいいんですかね?
別にそんなにいらないですか?
どうしましょう…!
ということで題名がありきたりでごめんなさい!
ここまで読んでくださりありがとうございました!!
2011/12/01
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[mokuji]
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