恋に落ちる音がした
今日も授業をサボっていつもの場所に行く。
一応は1組の候補生だけど授業なんて大嫌い。
授業なんて意味があるのかわからない。
実戦の授業も嫌いだ。
まぁ、組で上から10番にはギリギリ入っている成績を納めてはいるのでサボっても誰にも怒られない。
「んーっ!気持ちの良い晴れですなぁ」
気持ちの良い天候だというのもあり、だんだん睡魔が襲ってきたのでユリアは芝生に寝転がり目を閉じた。
ポカポカしているのも手伝い、彼女は睡眠の世界へと誘われようとしていた。
すると突然真上から男性声が降ってきたので、現実世界へと連れ戻されたのだった。
「……君は1組の子だろう。今は授業中のはずではないか」
ゆっくりと目を開けるとそこにはマスクをつけた黒尽くしな眉目秀麗な男性が一人。
「え…、貴方は?」
きょとんとそう質問に質問をし返すと、まずは私の質問に答えろ、とピシャリと言われた。
「私は1組のユリア・グランです。今は授業中です!いわゆるサボりです」
「……そこまで堂々としたサボりは始めて見た」
「お褒め頂き感謝します」
「褒めてはいない」
半ば呆れてそう言うマスクの美青年。
「……早く戻らなければ隊長に叱られるぞ」
「え、あぁ、叱られないから大丈夫です」
「………………」
視線が怖い。
初対面のはずなのに怖い。
「候補生たるものなにがあるのかはわからない。授業など意味がないかもしれないが、役に立つことだってある」
「…え?」
「仲間と一緒に授業を受け仲を深めると言うことも大切だぞ」
「もしかして…私、説教されてます?」
「あぁ、そうだ」
初対面の美青年に説教だなんて、びっくり。
でも言ってることは正しい。
あれ?
こんなに真剣に私を叱ってくれたのって他に誰かいったっけ?
「ふふふ、ありがとうございます」
「……礼を言われる筋合いはない。わかったのなら早く授業に戻れ」
素直にお礼を言われたことにびっくりしたのか、彼は目を逸して手でシッシッと早く戻れとやってきたのだった。
「ユリア・グラン!」
しょうがないから教室に戻ろうとすると彼は私を呼んだ。
「はい?なんですか?」
振り返ると彼はマスクをしていてもわかるぐらい優しく微笑んでこう言った。
「いつもここで昼寝をしているが、昼寝ならもう少しあっちのほうが気持ちが良い場所がある。授業をサボらず昼休みにそこに行くことを薦める。……授業頑張ってくるんだな」
そう言い彼はゆっくりと立ち上がり立ち去って行った。
ドキンっと胸の奥でなにか音がした。
「……あ、名前聞いてない」
意味がわからない人だったけれど、
なぜだかわからないが彼のことが頭から離れない。
―――
恋に落ちる音がした(ドキンっ―――)------------------------
1組の候補生のヒロインちゃんとお節介なクラサメさんでした!
クラサメさんは前からヒロインちゃんを知ってたという設定なんです。
この二人の続編として学園もの的なストーリーをなんとなく考えてはいるのですが、読みたいと言ってくださる需要がありましたら書きます!
ご意見ご感想はclapもしくはbbsにてお待ちしています!
2011/11/27
[ 6/44 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]