※会長×平凡としてはプロローグ的。
触手は浮気に入りません。
入らないことにしてください。
誰にともなく心の中で念じて、触手を購入した。
俺は現在、生徒会長をしている幼なじみと付き合っている。
付き合うと決めたとき、彼が生徒会長になるなんて思わなかった。生徒会長がこれほど忙しいとも知らなかった。
進級して幼なじみが生徒会長になり、放課後ずっと忙しくなったことで俺たちには距離が出来た。
物理的に会長と一般生徒は時間が合わない。
誰よりも早く学校に来て、誰よりも遅く帰る。
クラスが違うので、お互いに連絡を取り合って何とか廊下ですれ違う、そのぐらいしか出来ない。
休みの日はほぼ一日中寝ていたり、生徒会としての仕事をしている。
あちらの都合で抱きしめられたり、キスをされたりといった触れ合いはあるけれど、俺の満足感など二の次だ。
自分がさみしいから顔を見に来た、触りに来た。自分が満足したから、じゃあ帰るといって去っていく。
幼なじみなので、八方美人で安請け合いをして今の状況になったことは想像できる。
何度も教師から仕事を押しつけられるなと言っても「先生も大変そうだから」とあれこれ雑用を引き受けてしまう。
生徒会役員は成績優秀ではないといけないので、勉強も手を抜かずにやっている。
俺と過ごす時間は一週間のうちに一分かそこらだ。せめて一緒に勉強をすればいいと思ったが断られた。俺と一緒にいたらエッチな気持ちになるからだという。
そんなのは俺も同じだ。
ひとりでチンコに触ることもなかった俺にオナニーを覚えさせて、誕生日に挿入できるように指を入れて解すように教えられた。誕生日はもう過ぎてしまったが、彼のチンコが俺の中に挿入されることはなかった。
誕生日プレゼントとして渡されたのは通販のサイトで使えるギフトカードがメールできた。
何を買うのか自分で決めていいというのは助かる反面、手抜きにも感じる。
俺に対して時間を使うのが嫌というより、忘れていてプレゼントを購入する時間がなかったんじゃないだろうか。
考えるとイライラもやもやしてきて、つい、そのギフトカードで触手を購入してしまった。
昔は専門の販売業者からしか触手を購入できなかった。今は種類によっては通販サイトで取り扱っており、宅配便が運んでくる。便利な時代だからこそ、気軽に手に入れて気軽に手放す人も多いと聞く。
軽い気持ちで購入したが、意外とカワイイ。
液体である触手でクール便で冷凍状態で届いた。
常温で置きっぱなしにして解凍した触手の色は淡い水色。
宝石のアクアマリンのような色合いでテンションが上がった。
俺は触手にリンと名付けた。
意外と知能が高いようで、幼なじみである恋人のはずの会長の愚痴を言い続けると相槌を打つように体の形を変える。
分かってくれているのかは知らないが、小人がうなずくような液体の動きに俺は心が癒された。
冷蔵庫に入れておくと当たり前だがひんやりする。
もっと値段が張る個体は触手自身で温度を調整できるらしいが、俺の触手であるリンはそこまで高級品種じゃない。
ただ、変幻自在な触手というのは用途が幅広い。
俺はリンをコップに入れてチンコを突っ込むことにした、
触手の使い方のひとつとして有り触れている性的なことでの使用。
種類によっては禁止されているらしいが、触手への栄養補給でもあるので逆に毎日でもやらなければならない種類もいる。
液体系触手は身体を構成する要素が基本的に水なので、精液や尿を与えないといけない。
あるいは触手用の餌として販売されている液体を毎朝、数滴かけてあげる。それで、触手は健康を維持できる。
触手についてはまだまだ謎も多く個体差があるので、成長日記をつけるのが好ましいとされている。
その日記の内容はどちらかといえば、リンの成長の記録ではなく俺の痴態記録だ。
恋人が俺の部屋に残していったコップをリンの寝床にした。
リンは身体の硬さを変えられるので、コップを逆さまにしても水のように外にこぼれることはない、
万が一、コップを倒してもリンが物の隙間に入ってしまうことはない。
寝床としているコップの中に張りついていてくれる。
コップの使用者は俺の部屋に来ることなく、他人の仕事を請け負いまくって勝手に疲れている。
最初は支えたかったし、さみしさなど耐えられるが、俺は生徒会役員ではないし、幼なじみとして一緒に居すぎた。
近くにいることができない状況が自分でもビックリするほど、ダメージがあった。
恋人が使っていたコップに触手を入れてオナホールにするなんてどうかしている。正気じゃない。けれど、興奮してしまう。
俺のチンコによって、ぐちゅぐちゅ、ぬぷぬぷと卑猥な音をリンが出す。俺のチンコがコップを、リンを、犯している。ひとり盛り上がって、腰を突き出して喘ぐ俺はどう考えてもさみしい人間だが、実際、恋人がいるのに会えなくてさみしい。
廊下ですれ違う時に軽く指を撫でられた。
それだけが、今日の触れ合い。
せめて一緒に食事が出来ればいいが、生徒会役員は生徒会室や会議室などで食事をするらしい。
効率的に役員の仕事をするために離れた場所にある食堂に行くことはない。
さみしさが募るとリンと戯れる時間も長くなっていく。
リンもわかっているのか、最近では俺が達した後にコップから出てきて服の中に侵入する。
尖って存在を主張する乳首を体を氷のような硬さに変えて押しつけてくる。
「……乳首、こりこり、きもちいいっ」
俺がどうされたら気持ちいいのか日に日に学習している。
舌でなめるような、爪を立てるような、歯を使って甘く噛むそんなことすら、リンは再現するようになっていた。
気持ちがいいと泣く俺の涙をぬぐうことすらしてくれるリンは顔がなくてもイケメンだ。
いつの間にかすっかり俺はさみしさが消えていた。
「……っ! だめぇ!! だめ、そこはっ」
リンが俺のアナルをツンツンと突っついた。
液体を生かしてするっと入ってくるのではなく、体を硬くして、俺に入ると合図をする。
「りん、だめだよ」
そう言いながらも俺の足は完全に開いて腰を突き出していた。
リンが入りやすいようにお尻を両手でつかんで左右に開く。
排泄物の出口であるはずの場所がリンの入り口だと主張するようにピクピク動いて主張する。
ダメだと俺が言っているので、お利口さんなリンは挿入せず、アナルの周りをなぞったり、タマを揉む。
恋人に挿入されたこともない処女アナルだった俺はもう今では前立腺刺激の虜だ。
指を入れているだけで未開発同然だったのは過去の話。
一度、リンの侵入を許してからは一日中でもリンを体内で感じていたい。
最近は奥の奥まで進んで行って、かわいく暴れまわってくれる。
成長すると質量が増すらしく、気づけばリンはコップ二つ分の身体になっていた。
恋人とのペアのコップが触手の寝床という背徳感に背筋がぞわっとする。
感じすぎて失禁してもリンが全部吸収してくれるのでシーツが汚れる心配はない。
「……リン、おねがい。もう、がまんできない」
指以外に最初に俺の中に入ってくるのは恋人のモノだと思っていた。
恋人のチンコを受け入れるために指で解していたのに俺の中にいるのは触手だ。
体が大きくなったことで、挿入しながら細長く伸ばした体の一部で俺の乳首や全身を愛撫できる。
あごの下や首をアナルを責められながら撫でられる。
耳の中に入ってきてついでに掃除もしてくれるかわいくて優しいリン。
想像以上に触手は最高だし、おしりを責められて射精する快感は癖になる。
はしたなく喘ぎながら、これは浮気じゃない。
触手は人間ではない。
だから、浮気はしていないと俺は自分に言い聞かせた。
「ひぃ、んんぅ、チンコに入ってきたぁ、それだめぇ、精液でなくなっちゃうから、だめっ」
尿道に侵入されたが痛くない。
異物を入れて取れなくなって病院に行く事例が、触手が一般に広まったことで減ったらしい。
みんな触手を使って安全に尿道を拡張しているのだろう。
そのうち、リンが居ないと排尿が上手くできなくなるかもしれない。
心配する俺を他所にリンは膀胱に溜まっていたおしっこを吸収して少し質量を増す。
中から圧迫されて痛かったり怖かったりするのだが、頭が快感に変換するようにスイッチを入れているのか、ただただ気持ちがいい。
「……あ、あっ、あン、あっ、……じわじわ、押し広げられてる」
俺に痛みが出ないようにという配慮なのか、リンは激しい責め方をしない紳士だ。
それが、まどろっこしいと思う俺と、ゆっくりと俺を観察しながら進めていく優しさに感動してしまう。
これは浮気でもセックスでもない。
オナニーだ。
リンは触手としての本能で人を喜ばせようとしているだけで俺を孕ませようと思っていない。
触手に孕ませられると想像しただけで軽くイッてしまった。リンは無理だとしても変異した触手は居るので十分あり得る話だ。
あんまりにも放っておかれている自分は本当に幼なじみの恋人なのか疑いたくなる。
会長として忙しいのは分かるが、触手なしでは生きられないほど触手との生活が馴染んでしまった。
そのうち、触手であるリンとの時間の方が幼なじみである恋人との時間よりも長くなるかもしれない。
「あっ、んんっ、イクっ!」
腰が大きく跳ねるが、リンが尿道を占領しているので何も出ない。
自分の中の何かが変わっていく、そんな予感に怖くなるが、日に日に行為はエスカレートしていく。
俺は触手であるリンとの行為を全て記録として残している。
これを見たとき、恋人はどんな反応をするだろう。
幼なじみに戻りたいと思うのだろうか。
きっとそうなるに違いないと卑屈になった俺は暗い気持ちで諦めはじめた。
会長は美人の副会長と付き合っている、そんな噂を聞いた。
普通の地味な顔の俺と比べられないレベルの麗しい副会長。
役員として一緒に仕事をして、副会長の顔以外の良さだって知っているだろう。
昔からどうして仲がいいのと言われ続けた俺とは違って、お似合いだとかセットでいるのがしっくりくると言われていた。
本人からフラれたわけではないのに疲れていた。
言葉を発しなくてもリンは優しい。快楽はすべてを忘れさせてくれる。俺は自分の恋人と向き合うことが怖くなってしまった。
触手は浮気に入りませんが、彼は浮気してるかもしれない。そう思うと卑猥な言葉を並べ立てるリンとの交わりを「時間がない、ごめん」と言い続ける彼に見せつけたくなってくる。最悪な破滅衝動。けれど、俺が触手で喘いでいる姿を見てどうするのか知りたい。
浮気だと思わなくても気持ちが悪いと思うかもしれない。
すでに何とも思わなくて、どうでもいい人間に変わったのかもしれない。
快楽ではない涙が流れても、リンは何も言わずにぬぐってくれる。
もし、恋人ではなく触手だけがそばに居ればいいと思ったら、これは浮気になるのだろうか。
-------------------------------------------
以下は頭の中でぐるぐるしていることなので、読まなくてOK。
会長×平凡のその後(触手含む)まで構想はあるのですが、余計かもしれないと思ったので、ここまで。
この後のはっちゃけた淫語使いまくり触手エロを掲載する可能性がありますが、会長×平凡はそういうアホっぽい雰囲気が壊れる可能性があるので
FANBOXがいいのかな?と思ったりします。
(最近、更新しにくい内容は全部
FANBOXに持っていけばいいと思ってる部分がある)
受けが触手に寝取られているみたいな状況を知った攻めの心境を書きたくなったりするのですが、
アホエロ、バカエロも同じだけ書きたいから、書きたいものを全部書いちゃうと読んでいる人がどんな気持ちになれば良いのか分からないということになりそう。
なので、シリアスヤンデレ執着系エピソードは
FANBOX、軽いアホエロは普通に掲載がいいかな? あるいは逆かな? と考えています。
続かなかったら続かなかったで良い気もしますが、触手が当たり前にある世界たのしいです。また書きたいです。
◆感想、誤字脱字指摘、続編希望↓からお気軽にどうぞ。
タイトル(一部や略称)と一緒にお願いします。
(お返事として
更新履歴で触れることがあります)
短編SS用
ご意見箱
感想や希望は作品名といっしょにお願いします。
2018/09/22