黒子くんとメールする話 2

「お腹すいたー。」
「三時間目の体育ってないよね。」
「そうそう。四時間目死ぬわ。」

そんな会話をしながら、友達の綾と机をくっつける。

「あれ、今日コンビニ?」
「そうなんだよー。」
「名前はいつもお弁当だよね。」
「うん。メロンパン?」
「一口いる?」
「え。」
「欲しそうな顔してますけど。」
「えー!じゃあ、綾も何かいる?」
「んーじゃあ、玉子焼きちょうだーい。」
「いいよ。」

あーんと口を開ける綾に、玉子焼きをあげる。

「お、相変わらず絶妙な味加減ですな。
ご飯が欲しくなる。」
「ふふ、お母さんが聞いたら喜ぶよ。」
「じゃあ、メロンパンどーぞ。」
「ありがと。」

差し出されるメロンパンに顔を近づけると、
メンロンパンの甘い匂いが鼻を擽った。

一口含むと、柔らかい生地とクッキーの生地がマッチしていて、美味しい。

「メロンパン、やっぱり、美味しい。」
「あ、そういえば、駅前に新しいパン屋さん出来たんだよ。」
「え、ほんと?」
「今度、私が部活ないとき、食べに行こうか。」
「うん!」
「って、名前。携帯光ってるよ。」
「あ、ほんとだ。メールかな。」

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こんにちは。
部活で飼っている犬の
テツヤ二号です。
可愛くないですか?
ちなみに、名付けたのは
僕ではなく、先輩です。

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(テツヤ二号・・・?)

テツヤって、テツヤくんの?
文面に首を傾げながら、下へ操作すると、水色より少し深めな色の独特の目と目が合う。
相手は写真だから、その言い方は変かもしれないけど。
白と黒の犬で、・・・この目元、何か、テツヤくんに似てる?

・・・ああ、だから、テツヤ二号なんだ。

(ふふ、可愛い犬。)

「なに、ニヤけてるの?」
「うん、可愛い犬の写真がね。」
「え、見せて見せて!」
「ほら。」
「わあ、可愛い!にしても、・・・何か、悟ったような目してる。」
「確かに。」



「二号。ご飯ですよ。」
「わん!」

ドックフードを置けば、はぐはぐと元気に食べる二号は可愛いくて、頬が緩む。

「わん!」
「どうしたんですか?まだ、ありますよ。」
「わん!」
「・・・?」

何かを訴えるように鳴く二号に、首を傾げながら、しゃがむと
二号はスンスンと鼻を鳴らしながら、ポケットをまさぐる。

「ここにご飯はありませ・・・あ、携帯。」
「わん!」
「・・・メールが来てる。」
「わふ!」
「教えてくれたんですね。ありがとうございます。」
「わん!」

二号は満足したように鳴くと、またドックフードを食べ始めた。

(名前ちゃんからだ。)

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こんにちはー
めっちゃ、可愛い!
テツヤくんに似てるから、テツヤ二号?
特に目元が似てる(´・ω・`)
触ってみたい!

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(目元・・・似てるんですかね。
触ってみたいか・・・カントクも二号と会ったとき、回るほど喜んでいたし、
沙良名前ちゃんも元気になるかも。・・・この前、疲れた顔してましたし。)

あることを思いついて、返信ボタンを押す。

(喜んでくれるといいな。)



「うー五時間目めんどくさーい。」
「そうだねぇ。眠くなるし。」
「名前は席が一番後ろだから、いいよね。」
「綾はその前でしょ。そんなに変んないよ。」
「まぁねん。ねえ、ジュース買いに行かない?」
「購買?」
「いや、自販機。午後の授業に備えて、糖分接種!」
「うーん・・・、次数学だし、行こうかな。」
「よし、行こう!」

机を元に戻して、財布をもつと、自販機へ急ぐ。



「んー!やっぱり、ミルクティーはいい。」
「ふふ、綾好きだよね。」
「名前はレモンティーか。」
「うん。」

(もうすぐ、五時間目始まるか・・・。)

後何分で、飲まないといけないか確認するために、携帯を開くとメールが来ていた。

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はい、そうです。
今度散歩するとき、
良かったら一緒に行きますか?
賢くて、良い子ですよ。
もふもふしています。

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(テツヤくんもお昼中だったのかな。
散歩!?・・・いいな、行ってみたい。
おお、賢いのか。テツヤくんしつけるの上手そうだし。
しかも、もふもふ。これは、行くしかない。)

「あー午後の数学嫌だなぁ。」
「そのためのミルクティーでしょ?」
「うん、まあ、そうなんだけど。」

じゅるじゅると吸いながら、綾は口を尖らせる。
綾も私も数学は好きじゃない。
でも、綾は好きじゃない癖に、出来るので羨ましい。

(数学は嫌だけど、・・・テツヤくんとメールしたし、二号も見れたし、・・・いつもより、集中できそう。)



「では、二号。午後の授業行ってきますね。
良い子にしていて下さいね。」
「わん!」


教室へ戻るため、廊下を少し急いで歩く。
後、何分で予鈴がなるんだったけ?
携帯を開くと、メールが来ていた。

(いつもより、返信早いな。)

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いいの?
行きたい!
もふもふかぁ!
散歩楽しみだなぁー。

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楽しみ・・・その言葉に口元が緩んだ。

(・・・いつにしようか。後で、メールを送ろう。)

とりあえず、今は教室へ行くために、携帯を閉じた。

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