思い出と初メール
相変わらず、綺麗な髪だった。
苗字名前さん・・・小学校が同じで、綺麗な髪で、色白の女の子。
それが彼女の記憶の中での印象だ。

小学一年生、小学生のとき、最初に、同じクラスになった。
初めて擦れ違ったとき、ふわっといい香りがして、思わず振り返った。
腰まで伸びた髪が、窓からの日差しで、キラキラとしていた、綺麗だと思ったことを今でも覚えている。

彼女は真っ白の肌を隠す様に、いつも長袖のパーカーを着ていた。

「名前ちゃん、暑くないのー?」
「直射日光の方がつらい。」
「・・・?」
「太陽の光をね、直接、浴びるのにがて。」
「あー!そいうことねー。」

あまり外に出ずに、体育でも隙あれば、日陰で休んでいるような子だ。

「黒子くん。」
「・・・苗字さん。」
「何読んでるの?」

席が隣になったとき、彼女は妙にキラキラとした目だった。
この会話が僕と彼女の初めて交わした会話だ。



そんな彼女とは、すぐ仲良くなった。
彼女はけっこう顔に出やすい。
あと、意外とスキンシップが激しいというか、大胆。
仲が良い女の子によく抱きついてるのをよく見る。

「テツヤくん。」
「どうしたんですか。」
「今日ね、渡り廊下で、テツヤくんをね、見かけたんだよ。」
「・・・すごく、嬉しそうですね。」

図書室で本を読んでいたら、後ろから抱きつかれた。
彼女の髪が首筋に、かかって、くすぐったい。
ふんわり、と優しい、いい匂いが後ろからした。

「うん、テツヤくんは妖精みたいだから、嬉しい。」
「・・・僕が妖精ですか?」
「うん、そう。」

僕が後ろを向けば、にっこりと幸せそうに、お花でも飛ばしてるかのような、笑顔の彼女が居た。

(・・・ほんと、可愛い顔で、笑う人だなぁ。)

「近いです。」
「えっと、い、いや?」

しゅんっとしたように、眉を下げる。
僕は首を横に振った。

「ほんと?」
「はい、ほんとです。」

そう言うと、安心したように、ほわっと笑った。
むぎゅう、と腕に力を籠られて、ちょっと、苦しい。

「えへへー、テツヤくん。」
「何ですか。」
「呼んだだけ。」

舌をいたずらっ子ように、出して、えへへと笑う。

(・・・・・・・やっぱり、可愛い、笑顔だ。)


見慣れた携帯を開けると、・・・特に新着メールもなく、いつもの待ち受け。
・・・ちょっと、だけ残念だと思いながら、ベットに入った。

〜♪

「?」

携帯を開くと、新着Eメール一件とあった。
カチカチと操作して、誰かからか確認すると、from苗字 名前という文字が目に入って、頬が緩んだ。

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こんばんはー
今日は久しぶりに会
えてうれしかったです。
アイスありがとう。
今度は私に何か奢ら
せて欲しいです。

また話そうね
(´・ω・`)
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・・・・この顔文字、何か可愛い。
なんか、見覚え・・・ある、気がする。
あ、苗字さんがしゅんとしたときの、表情にそっくりだ。

小さく笑って、返事を打った。

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こんばんは
僕も会えてうれしか
ったです。
アイスは気にしな
いで下さい。

また話しましょう。
(´・ω・`)これ苗字さん
にそっくりですね
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