相変わらず、綺麗な髪だった。
苗字名前さん・・・小学校が同じで、綺麗な髪で、色白の女の子。
それが彼女の記憶の中での印象だ。
小学一年生、小学生のとき、最初に、同じクラスになった。
初めて擦れ違ったとき、ふわっといい香りがして、思わず振り返った。
腰まで伸びた髪が、窓からの日差しで、キラキラとしていた、綺麗だと思ったことを今でも覚えている。
彼女は真っ白の肌を隠す様に、いつも長袖のパーカーを着ていた。
「名前ちゃん、暑くないのー?」
「直射日光の方がつらい。」
「・・・?」
「太陽の光をね、直接、浴びるのにがて。」
「あー!そいうことねー。」
あまり外に出ずに、体育でも隙あれば、日陰で休んでいるような子だ。
「黒子くん。」
「・・・苗字さん。」
「何読んでるの?」
席が隣になったとき、彼女は妙にキラキラとした目だった。
この会話が僕と彼女の初めて交わした会話だ。
*
そんな彼女とは、すぐ仲良くなった。
彼女はけっこう顔に出やすい。
あと、意外とスキンシップが激しいというか、大胆。
仲が良い女の子によく抱きついてるのをよく見る。
「テツヤくん。」
「どうしたんですか。」
「今日ね、渡り廊下で、テツヤくんをね、見かけたんだよ。」
「・・・すごく、嬉しそうですね。」
図書室で本を読んでいたら、後ろから抱きつかれた。
彼女の髪が首筋に、かかって、くすぐったい。
ふんわり、と優しい、いい匂いが後ろからした。
「うん、テツヤくんは妖精みたいだから、嬉しい。」
「・・・僕が妖精ですか?」
「うん、そう。」
僕が後ろを向けば、にっこりと幸せそうに、お花でも飛ばしてるかのような、笑顔の彼女が居た。
(・・・ほんと、可愛い顔で、笑う人だなぁ。)
「近いです。」
「えっと、い、いや?」
しゅんっとしたように、眉を下げる。
僕は首を横に振った。
「ほんと?」
「はい、ほんとです。」
そう言うと、安心したように、ほわっと笑った。
むぎゅう、と腕に力を籠られて、ちょっと、苦しい。
「えへへー、テツヤくん。」
「何ですか。」
「呼んだだけ。」
舌をいたずらっ子ように、出して、えへへと笑う。
(・・・・・・・やっぱり、可愛い、笑顔だ。)
*
見慣れた携帯を開けると、・・・特に新着メールもなく、いつもの待ち受け。
・・・ちょっと、だけ残念だと思いながら、ベットに入った。
〜♪
「?」
携帯を開くと、新着Eメール一件とあった。
カチカチと操作して、誰かからか確認すると、from苗字 名前という文字が目に入って、頬が緩んだ。
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こんばんはー
今日は久しぶりに会
えてうれしかったです。
アイスありがとう。
今度は私に何か奢ら
せて欲しいです。
また話そうね
(´・ω・`)
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・・・・この顔文字、何か可愛い。
なんか、見覚え・・・ある、気がする。
あ、苗字さんがしゅんとしたときの、表情にそっくりだ。
小さく笑って、返事を打った。
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こんばんは
僕も会えてうれしか
ったです。
アイスは気にしな
いで下さい。
また話しましょう。
(´・ω・`)これ苗字さん
にそっくりですね
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