神と“ゼロ”の苦しみと、魔女

過去web拍手のお礼SSです。
神ルルの番外編。
特殊設定なので、お気をつけ下さいませ。

※CP:?
※「神の戸惑い」のその後。…かな?(コラ)
※短いです。そして、意味不明文。(マテ)
※それらを踏まえてご覧下さい。

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神と“ゼロ”の苦しみと、魔女






「久しいな、“ゼロ”」


  C.C.が訪れた場所…それは、“ゼロ”の許だった。
  気安く話しかけるC.C.に、“ゼロ”は苦笑したようだ。

  …そこに、“ゼロ”としての覇気はない。


「あぁ、君か。今忙しいんだけど…何か用かい?」

「……ゼロの姿でその口調は止めろ。ついでに人間も止めろ」

「酷いな…仕方がないだろう? “僕”を知っている人間には、自然とこの口調に戻ってしまうんだから…。ちゃんと、他人が居る時は“ゼロ”なんだから、勘弁して欲しいな。
  …あと、人間止めたら“約束”が守れないから、きけれないよ」


  “ゼロ”はついには仮面の下で破顔したようだった。
  何しろ、今や“ゼロ”にそんな気安いことを言ってくれる相手は、この眼前にいる魔女ぐらいなものだから。
  そして、“ゼロ”の素顔を知っている相手すらも……。

  さすがに、気づいている者もいる。
  それは当然のことだ。
  元のゼロの正体を知っていて、そのゼロと“ゼロ”の絆を知っている者ならば、誰だとて察することは出来る。
  …だが、気づいている者達は、皆口噤むことを選んだ。
  何故なら、“ゼロ”の狙いに、ゼロの願いに気づいてしまったから…。

  だから……“ゼロ”と気安く語れる者は、両手で余る人数しかいない。

  その内の1人は、未だに兄の死のショックから抜け切れておらず、私的な会話をしていない。
  その内の1人は、未だにショックから抜けれていない主人の世話をしていて忙しく。
  その内の1人…いや、2人は、遠く離れた田舎でオレンジ農園を営んでいて、滅多に訪れることはない。
  その内の、やはり2人は、亡き主人からの依頼の、世界をより良くする為の研究で、やはり訪れることはなかった。


「フン。口調が直せないなら、そんな仮面など脱いでしまえ。
  代わりに私がかぶってやろう」

  貴様よりも、余程ゼロらしい“ゼロ”になれるぞ?


  ニヤリと笑うC.C.に、“ゼロ”はどこか寂しそうに首を横に振る。
  仮面の下が見えていたならば、その素顔も寂しそうな笑みを浮かべているのが見えただろう。


「駄目だって。…これは、僕がルルーシュから受け取った“ギアス”なんだから…人に、渡すことなんて出来ないよ…」


  そんなスザクに、C.C.は盛大なため息をついた。
  それは、スザクの耳に『仕方がない奴だ』と言っているように聞こえた。


「…と言う訳だ。そんな顔をするぐらいなら、とっとと姿を現してしまえ」

「え?」


  知らず俯いていた“ゼロ”―― スザクは、そんなC.C.の言葉に疑問の声と共に顔を上げる。
  そして…そこに、C.C.以外誰もいなかった筈のその場所に、とても神々しい…懐かしい姿を見つけた ―――――。



(……………)

(な…そんな、まさか……)

(ふふん、まるで死神とでも会ったような反応だな)

(……………(いや、自分が殺した相手がいきなり現れたら、誰でも驚くだろう…))

(いや、でも…でも、確かに彼は僕がこの手で…まさか、ついに幻覚が?)

(…ん? “死”んだ“神”だから間違いではないか…?)

(お前、それは違うだろう!)

(うわぁ!? 声まで!)

(ん? まだ現実に戻っていないのか? 仕方がない奴だな、仕方がないから私が手自ら現実を認識させてやろう)

(ちょっと待て、お前、一体何をする…)

(どうしよう、幻覚に幻聴まで聴こえて…うぐっ!?)

ビシ!バシ!ドカッ! …で、目が覚めたか?)

(…だ、大丈夫か? スザク…)

(あぁ、ゴメン。ようやく目が覚めたよ…父さんが、川の向こう側で手薬煉ひいて佇んでいたけど)

(…チッ、そのまま川を渡ってしまえば良かったのに)



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