神と魔女と裏切り者

過去web拍手のお礼SSです。
神ルルの番外編。
特殊設定なので、お気をつけ下さいませ。

※神ルル番外編
※CP:ルルC風味のCルル←
※カレン厳し目。
※ちょっとだけ暴力表現あり。苦手な方はご注意をば。
※それらを踏まえてご覧下さい。

*




「あっ…」

「ん? …あぁ、貴様か」


  C.C.を見かけて声を上げた存在に、C.C.は目を向けて嫌そうに顔をしかめた。
  C.C.の視線の先に、1人の少女がどこか呆然と佇んでいる。

  そこには、アッシュフォード学園の制服を着たカレンの姿があった。





神と魔女と裏切り者






「アンタ、今まで何処にいたの?」

「フン、貴様には関係ないだろう。それに、私が何処にいたとしても、貴様に言う必要性を感じないな」


  詰問するかのごとく、C.C.に問いを投げつけるカレンに、C.C.は馬鹿にしたように(いや、実際にしているのだが)鼻で笑い、質問に答えない。


「なっ…! あ、アンタは悪逆皇帝ルルーシュの重要参考人として、指名手配されて…」

「そんなもの、しているのはこの合衆国日本ぐらいなものだ。それに、私は裏切り者にとやかく言われる筋合いもない」


  カレンが言う前に、キッパリと言い切るC.C.の視線は凍りついている。
  何しろ、ルルーシュがゼロレクイエムを行わねばならなくなった経過の一つに、この女と黒の騎士団の裏切りがあるのだから、C.C.からしてみれば当然だと言えた。

  だが…それを良しとしないのは、裏切られた当の本人である筈のルルーシュ。
  今や、万人に対して優しい(ルルーシュ)に、こういうところは少々どころではなくムカついてしまう。(いわゆる、嫉妬と呼ばれる感情である)


『C.C.…カレンにもカレンの事情があったんだし…』

「(…だからお前は甘いと言うんだ。コイツの裏切りは初めてではないだろう? まだ初犯ならともかく、お前の事情を知っていて、なお裏切ったんだ。それは万死に値するぞ)」


  ギラリとルルーシュを睨むC.C.の瞳には、今もなお消えぬ憎しみが宿っている。
  その瞳を見て、ルルーシュもC.C.を説得することを諦めた。

  …何しろ、人間だった頃のルルーシュにも憶えがある感情なのだから…。


「ちょっと、C.C.! 聞いてるの!? 私は裏切ってなんかないわ! 裏切ったのは…ルルーシュの方じゃない!!」


  だが、無視していたカレンのこの言葉に、C.C.はカチンと来た。

  …口ではなんと言おうとも、本人であるルルーシュは許している。
  だから、どれだけイラついたとしても、C.C.は我慢しようと思っていた。
  …思っていたが……どうやら、元々短かった堪忍袋がぶち切れてしまったようだ。


「アンタねぇ、人の………ぐっっ!!???


ドカッ!!!


「…貴様には、ほとほと呆れ果てたよ。愚かだとは思っていたが、まさかここまでだったとはな」


  その冷え切った声に、ルルーシュは不味いと慌ててカレンを気絶させ、C.C.を止めた。
  …今にも、その懐に隠してある護身用の銃で、カレンを殺しそうな勢いだったから。


『…C.C.』

「止めるな! こいつは、こいつはお前のことを今、完全に否定したんだぞ!? お前の、想いを…自らの命と引き換えに招いた、この世界を……!!」


  止めるために掴んでいたC.C.の腕を引き寄せ、ルルーシュはC.C.を抱き締めた。
  …C.C.の声が、悲鳴を上げるかのように、今にも泣きそうだったから…。


『C.C.…だからと言って、お前が手を下さなくてもいい。俺は、こう言われることも覚悟して、ゼロレクイエムを行ったのだから…』

「…だが、お前は、残された者の気持ちを考えていない! お前の真実を知っている者達が、お前のことを否定されて、でも言えなくて…それがどれだけ辛い事なのか、考えていなかったんだろう!?」


  C.C.の声は、すでに涙声になっていた。
  それでも、C.C.は怒りを顕わにし、ルルーシュの胸を叩く。

  抱き締めているから見えないが、すでに泣いているのだろう。
  そう思うと…不謹慎かも知れないが、ルルーシュの胸は温かくなる。
  自分の為に、怒ってくれる存在がいる…それは、望外の喜びでもあった。


『…すまない。でも、またやり直すことが出来たとしても、俺は同じ事をしただろう。
  だけど…そういう風に怒ってくれるのは、嬉しいと思う。―― ありがとう、C.C.』


  そう言って、C.C.の顔を見て嬉しそうに微笑むルルーシュの顔は、とても優しく…美しいものだった ―――――。



(…お、おまっ! それは、卑怯だぞ!)

(? 何がだ?)

(〜〜〜っっっ! くそ、この天然め…!)

(何が天然なんだ…?)

(そっ、それより! お前、どうやってさっき私に触れたんだ? その姿は投影なんだろう?)

(あぁ、それはちょっと力を加えて…)

(…そんな事が出来るんなら、さっさとしておけ!)

(いや、これは一時的なもので、実体ではないし、それに…)

(それに…?)

(どうせなら、きちんと自分の手で触りたい)

(〜〜〜〜〜っっ!!??? こ、この天然魔性男が〜〜〜〜!!!!)



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